バレーボールPRESSBACK NUMBER
石川、柳田、西田をトスで操る。
関田誠大が味わった「楽しい」時間。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byBlazers sports club
posted2020/04/22 11:40
移籍2シーズン目を終えた関田。自宅待機中の現在は室内でのトレーニングに励んでいる。
「今できることをやろう」
「まぁ、しょうがないと言いますか。最初は正直、びっくりしましたけど……。延期と決定するその瞬間までは、7月の開幕に向けて目標を立てて動いていたので、延期と聞いても、なかなかすぐに気持ちを切り替えるのは難しかったです」
関田自身も日本代表コーチのブラン・フィリップとともに技術の向上に励んでいた矢先の決定だった。
「今はポジティブに『今できることをやろう』と思っています。まずはコンディションを第一に考えて、体力が落ちないよう心掛けています。こうなったら、もう受け入れるしかないというか、延期は決まったことなので、そこに向けてどう準備していくかってことを考えています」
ワールドカップで活躍し、手応えをつかんだと振り返るものの、オリンピックの選手選考に関しては決して楽観視はしていない。
「毎年そうなんですけど、その年、その年で代表選考があって、それに残るために準備をしているので、ワールドカップで多くの試合に出たからといって特に心境は変わりません。というか、オリンピックを意識してしまいがちなので、あえて目の前のことに集中しようと心がけてきました」
大事なところで「1点」を取れるか。
とはいえ、ワールドカップでの経験は関田にとって大きかった。強豪国との現時点での力の差、課題など多くの収穫を得たと振り返る。
「戦い方は……今までよりははっきりと見えてきたかなという感じです。良かったのは、サイドアウトをしっかりとれたこと。そして、大事なところで1点を取れるかどうかという課題と向き合ってきて、それはある程度、克服できたかな、と。セッターとしても一番大事だと思ってきたことなので」
ここで1点を取れば試合を有利に進められる。ここで1点を取ればビハインドでも形勢逆転に向けて望みをつなぐことができる。ここで1点を取れば流れが自軍に来る。バレーボールにはそういった「局面」が幾度か存在するが、その大事な「1点」を1人のエースアタッカーだけではなく、様々なアタッカーを使って奪えたことが大きかったと振り返る。“ゲームメイクに長けたセッター”という関田の評価を、さらに高めた大会となった。