バレーボールPRESSBACK NUMBER
Vリーグ界きってのスーパーサブ。
遅咲き鈴木悠二の武器と新たな挑戦。
posted2020/04/24 11:00
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
TORAY ARROWS
「“継続は力なり”って、まさにあいつのことですね」
バレーボールのV.LEAGUE DIVISION1に所属する東レアローズ(男子)の篠田歩監督は、こう話していたことがある。
“あいつ”とは、東レでこの春12年目を迎えた鈴木悠二のこと。
周りに左右されることなく、どんな立場にあっても腐らず、いつも変わらずコツコツと努力を積み重ねてきた33歳。その姿を周囲はずっと見てきたから、2019/20シーズン終了後に行われたVリーグ機構による選手間投票で、鈴木が「スーパーサブ部門」の1位に選ばれたことに、東レのスタッフもチームメイトも喜んだ。
あれだけミスしない選手はいない。
鈴木の武器はジャンプサーブである。選手間投票の選出コメントには、「常に強力で安定したサーブを入れられる」、「大事な場面でも確実に仕事をこなす」といった称賛の声が並んだ。
篠田監督も以前、「ジャンプサーブであれだけミスしない選手はいない」と語っていた。
助走からフワッと軽やかに跳び上がると、「ヨッ」という掛け声とともに鋭いサーブがサイドライン際や、レシーバーの間に突き刺さる。
その土台ができたのは東レでの1年目。当時、秋山央監督(現・筑波大学男子バレーボール部監督)に言われた言葉が転機になった。
「1年目のリーグ中に、秋山さんに『悠二はサーブがいいけど、ピンサ(リリーフサーバー)で出さないのは、ああいう場面でサーブを打つということがすごいことだから。もっと練習しなきゃダメだぞ』と言われました」
その時、秋山監督が例に挙げたのが、かつてサントリーサンバーズを前人未到のリーグ5連覇に導いたブラジル出身のオポジット、ジルソン・ベルナルドだった。
「ジルソン選手はサーブのトス練を1時間した、という話をされて、『お前もやんなきゃ、出れないよ』と言われました。それから、僕もトス練を始めました」