大山加奈のVolleyball is Life BACK NUMBER
春高バレーの“メグカナ対決”を回想。
「このまま一生試合をしていたい」
posted2020/04/11 11:50
text by
大山加奈Kana Oyama
photograph by
Kyodo News
私にとって「ナンバーワン」は、高校2年の春高バレー決勝戦です。このまま一生試合をしていたい。終わってほしくない。そんな風に思えた唯一の試合でした。
バレーボールを始めた頃から、春高バレーに憧れていました。自分では覚えていなかったのですが、小学校4年生の時に将来の自分が春高決勝で、優勝が決まるサーブを打つシーンを絵に描いていたほど、幼い頃から夢見た舞台でした。
幸せなことに成徳学園(現・下北沢成徳)では1年時から春高に出場することができました。ですが、初めての春高は2回戦敗退。2年時の東京大会(予選)では共栄学園に敗れて2位止まり。春高を前に「優勝候補」と言われながら勝てない試合が続き、どんな試合も「勝ちたい」ではなく「勝たなきゃいけない」、「負けちゃいけない」とプレッシャーばかり背負っていました。
しかも、本番2日前のレシーブ練習中に同級生の選手と交錯して右肩を痛めてしまい、肩を上げられなくなってしまったんです。当時は3月開催だった春高の開幕前日、終業式で(荒木)絵里香に会うなり「どうしよう、肩が上がらない」と号泣したことを覚えています。
センターコートで湧き上がった高揚感。
それでも試合はやってきます。鍼を打って痛みを和らげながら「やるしかない」と覚悟を決めたのですが、1回戦から準々決勝まではどれも本当に苦しい試合でした。サーブがまったく入らず「このまま負けるかもしれない」と不安がよぎった試合もありました。
それでも、それまでの日々を苦しんだおかげか、鍼のおかげか、準決勝まで勝ち上がることができました。センターコートへ立った瞬間、湧き上がってきたのはプレッシャーや緊張ではなく、「この広い代々木体育館の全員が、私たちに注目してくれている」という高揚感。不安も痛みも一瞬で消えて、小川(良樹)先生からは「肩は仮病だったな」と笑われました。