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それでも選手はプレーしたい……。
米女子ゴルフ3部ツアーが開催中のわけ。
text by
南しずかShizuka Minami
photograph byShizuka Minami
posted2020/04/21 07:00
全米女子ツアーのルーキーとして期待されていたヘイリー・ムーア。果たしていつになれば1部ツアーが再開されるのか……。
若手選手を襲う収入ゼロの恐怖。
世界中で感染が拡大し続ける現状を懸念し、レギュラーツアーの中断期間は延長し、早くて6月中旬に再開予定と発表された。多くのトップ選手たちは、自身のゴルフのピークを再開のタイミングに合わせるため、一旦、試合モードのスイッチを切り、オフに入った。
だが、駆け出しの若手たちの事情は違う。
21歳のルーキー、ヘイリー・ムーアは4月下旬現在も参戦中である。
「もしカクタスツアーがなかったら、絶対バイトを探していました」と自身の胸の内を丁寧に語ってくれた。
「感染を防ぐには人との接触をなるべく避けた方がいいので、世界中で働く機会そのものが減っています。でも仕事がなくても(食費など)出費は避けられない。(もしカクタスツアーがなかったら)YouTubeを通してゴルフレッスンをしたり、ウーバーイーツやドアダッシュなど飲食店の宅配サービスのバイトを考えたと思います」
貧しい家で育ち、苦労してプロになったが……。
「うちは裕福な家庭ではないので」というムーアは、昨年、米女子ツアーの最終予選会に臨むのに、大会参加費や渡航費がどうしても足りないと気づいたため、「gofundme」 というクラウドファンディングサービスで資金を募った。米メディアがこの資金募集を取り上げたことが後押しとなり、無事に資金が集まり、予選会も見事に突破した。
ところが試練は続く。今年2月にプロデビュー戦となる1試合に出場したのみで、レギュラーツアーが中断してしまったのだ。
自宅のあるカリフォルニア州サンディエゴでは、外出禁止令の影響でほぼ全てのゴルフ場が閉鎖した。職場を失ったムーアは、カクタスツアーへの参戦を決めて、愛車を運転してアリゾナに向かい、「gofundme」も再開した(ムーアのクラウドファンディング https://www.gofundme.com/f/haley039s-path-to-lpga )