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1000号記念、Number編集長座談会(上)
「江夏の21球」と清原和博の涙。 

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posted2020/03/28 11:45

1000号記念、Number編集長座談会(上)「江夏の21球」と清原和博の涙。<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

「江夏の21球」が掲載された創刊号(左)と清原が泣いた日本シリーズを特集した183号。

タイトル自体が変わっていく史上初の雑誌に?

松尾「最初は『Number1』『Number2』とタイトル自体が変わっていく史上初の雑誌にしようと思っていたのですが、取次から『タイトル自体が変わると取り扱いができません』と言われて、今のスタイルになりました(笑)。

 あと苦労したと言えば、当時の文藝春秋にはビジュアル誌のノウハウがまったくなかったこと。ビジュアル誌だとレイアウトやデザインが必要だけどそうしたことをやったことがなかったし、アートディレクターもいない状態でしたから」

「江夏の21球」の取材手法。

井上「そうした手探りの状態で創刊したとはいえ、創刊準備号と創刊号に掲載された『江夏の21球』はかなり話題になりましたね」

松尾「読者からの反響はすごかったです。1979年の近鉄対広島の日本シリーズ第7戦9回裏で江夏が投げた21球を克明に振り返った記事ですが、21球の間にスクイズ失敗をはじめとして様々なドラマがありました。

 記事を作るにあたっては江夏さんにホテルの部屋に来てもらって、何度も何度もビデオを見てもらった。最初はビデオを見てもほとんどその時のことを覚えてないんですよね。『こんなことあったかなぁ』と言って。

 でも何度も見てもらって、筆者の山際淳司さんがしつこくいろんなことを聞いていった。『サードの衣笠がマウンドに来たときに、何を話したんですか?』とか。

 そうしたら『あのときは、晩飯は何を食いに行こうかとか話したんじゃないかな』とか少しずつ思い出してきた。『ブルペンでピッチャーが練習を始めた時に何を感じましたか?』と聞いたら『ムッとした』とかね。そういう話が少しずつ出てくる。さらにほじっていくと、あそこに書かれたようなことが出てきたんです」

【次ページ】 病床の山際さんと語ったこと。

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