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1000号記念、Number編集長座談会(上)
「江夏の21球」と清原和博の涙。
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph bySports Graphic Number
posted2020/03/28 11:45
「江夏の21球」が掲載された創刊号(左)と清原が泣いた日本シリーズを特集した183号。
神に愛でられし者と佐瀬稔さん。
井上「五輪では佐瀬稔さんも思い出に残りますね。
アトランタ五輪のときに佐瀬さんに『カール・ルイス 神に愛でられし者の足跡』という記事を書いてもらった。
カール・ルイスが現地で30分だけ時間をくれることになって、なんだかんだでずっと待たされて、やっと実現したインタビューなんだけれども、いかにも佐瀬さんらしく現場主義でちゃっちゃと取材をやっちゃって、最後はカール・ルイスと一緒に写真に納まるという(笑)。記事も非常に臨場感あふれるいいインタビューでした」
「清原が泣いてます。撮ってください」
河野「創刊当初から野球を書いてもらっていた永谷脩さんの記事でとても印象深かったのが、1987年西武vs.巨人の日本シリーズ第6戦で試合中に清原和博さんが涙を流したときのものです。
あの試合で僕は一塁側のベンチの上あたりにいて、カメラマンたちにトランシーバーで指示を出す係をやっていました。カメラマンとは違う位置から見ていて、何か特別なことが起きたら、『撮ってください』と伝えるわけです。
清原さんが泣いていたのは、テレビでは放送されていたそうですが、実は球場では一塁付近にいた人にしか分かっていなかった。
僕はたまたま真横あたりにいて、双眼鏡で見て泣いているのが分かったので、『清原が泣いてます。清原が泣いてます。撮ってください』とトランシーバーで懸命に伝えたんですが、カメラマンからは何の反応もなく……。
日本シリーズ優勝が決まる9回の最後の場面だったので、カメラマンはトランシーバーなんてほっぽり出して、優勝の瞬間にマウンドに集まってくるところを撮ろうとバックネット裏に行っていたんです。
結局、そのシーンの写真はスポーツニッポンから借りましたが(笑)、永谷さんの記事を読んで、ドラフトではいろいろあったけど、あらためて清原さんの“ピュアさ”にジーンときたことをよく覚えています」