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鹿島の新スタイルは間に合うか。
異例の公開練習試合で4失点敗北。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byAFLO
posted2020/03/24 11:30
プレシーズンマッチから出場している期待のルーキー、荒木遼太郎。スタイル「変更」ではないだけに適応ははやいか。
新スタイルの確立は道半ば。
前線からハイプレッシャーをかけて、陣形をコンパクトに保ち、素早く攻守を切り替える。サイドバックは高い位置をとり、ボランチが2枚のセンターバックのサポートに回る。GKからのパスを繋ぎながら、ビルドアップしていく……。
その基本は特別目新しいものではない。しかし、先発のほぼ半数が移籍加入したばかりの選手で構成されているからか、監督の指示に従おうとするためなのか、パスミスが多発し、せっかく奪ったボールもすぐに相手に渡ってしまう。バックパスでやり直そうとするシーンも増える。
なによりも3連敗した3戦でノーゴールという事実が、チームの苦悩を物語っていた。
しかし中断期間中、J2やJ3のチームとの練習試合では勝利も記録し、チーム作りが進んでいるという手ごたえを感じられる結果が報じられていた。
実況までついた札幌との練習試合。
そして、3月21日。カシマスタジアムにコンサドーレ札幌を迎えた練習試合が行われた。
当然無観客での開催だが、メディアにも初めて練習試合が公開され、実況とともにDAZNでの中継も急遽決定した。日頃から試合映像を自主制作している鹿島だからこそ、対応できたのだろう。
「練習試合であっても同じカテゴリーが対戦する場合は公開したくないというチームも多いが、鹿島も札幌も公開してよいと言ってくれたことで、このような試合ができて非常にありがたい。キックオフ前から公式戦同様の形式で行われ、選手たちの緊張感も伝わってきた。
観客がいないのは寂しいけれど、選手たちがボールを奪い合う音や選手の声、スンテがあんなに日本語がうまいなんて想像してなかったし(笑)。選手たちのモチベーションの高さを感じられて、公式戦に近い良い試合だったと感じています」
試合を観戦した原博実Jリーグ副理事長が語るように、この日は世界でも稀な練習試合になった。