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鹿島の新スタイルは間に合うか。
異例の公開練習試合で4失点敗北。 

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寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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posted2020/03/24 11:30

鹿島の新スタイルは間に合うか。異例の公開練習試合で4失点敗北。<Number Web> photograph by AFLO

プレシーズンマッチから出場している期待のルーキー、荒木遼太郎。スタイル「変更」ではないだけに適応ははやいか。

4失点に「理想とは程遠い」。

 この日の練習試合では、45分2本のあとに、35分2本も予定されており、後半終盤になると、3本目に出場予定の選手たちがピッチに続々登場した。

 鹿島も29分にCBをブエノと関川郁万に代えている。

 そんな交代が「試合を終わらせる」という気持ちを緩ませたのだろうか。

 42分、47分と右からのフェルナンデスのクロスをジェイに決められて、2失点する。4失点中3失点が右からのクロスだった。そして、鹿島は2-4で敗れる。国内の公式戦で最後に4失点したのは2018年シーズンの夏だった。

「公式戦と同じような状況。点が獲れそうなところで獲れず、自分たちで試合を難しくしてしまった。攻撃については、立ち上がりの25分間はよかった。後半も良い流れもあったがうまくいかなかった。

 最後の2失点については、個人的なミス。やむを得ない。個人的に話をしたい。特になにかひとつというのではなく、チーム全体を作っている段階。選手たちは180度変わったサッカーを表現している。理想とするチームとはほど遠い。全体的には物足りなさを感じている」

 試合後、新型コロナ感染予防、拡散防止のためビデオ通話で行われた会見でザーゴ監督は試合をそう振り返った。

伊藤翔「僕らはいま最下位」

 1カ月ではまだ足りない。そういうことなのかもしれない。今季は降格チームがないことがすでに決定している。そのことについて問われ、伊藤翔はこう答えた。

「たしかに、チームによってはいろいろなチャレンジができるのかもしれない。でも、僕らは優勝やタイトルを目指すチーム。ただ現状では、そういうのはおこがましい。チームの完成度というよりも相手チームへの対応力。今日の札幌のような3バック、5バックになるチームに対して誰がどうつくのかというのは去年からの課題で、今日もアジャストできていない。戦術という意味でも、自分たちという意味でも。

 なにより僕らはいま最下位。苦しい位置にいる。優勝はしたいけれど。これ大丈夫かという眼もあるはず。だけど僕らは改善していくだけ」

 伊藤翔の言葉が強く印象に残る。1節が終わっただけだがJリーグで鹿島は最下位であるのは現実なのだから。

【次ページ】 スタイルと勝ち点のジレンマ。

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