プレミアリーグの時間BACK NUMBER
非常事態にルーニーもコラムで提言。
プレミア日程消化、最善策はあるか。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2020/03/23 11:30
サウサンプトンのホームスタジアムの電光掲示板にて。再び歓喜に沸く時を、フットボールの母国も待ちわびている。
マンチェスターダービー、CLは開催。
シーズン中はBBCテレビの『マッチ・オブ・ザ・デー』という週末の定番番組がある。しかし、14日の夜はコメディドラマの再放送に置き換えられた。続く15日夜は、お馴染みガリー・リネカーの司会姿は拝めず、ハリウッド映画の中でキアヌ・リーブスがFBI捜査官を演じていた。
報道によれば、この週末にはノンリーグ(セミプロ)で3000人を超す観衆を集めた試合があったという。満たされない心の隙間を埋めるかのように動いた、サッカー好きな庶民の気持ちもわかる気がした。
こう書くと、今回の決定に納得していないように思われるかもしれないが、個人的にはもっと早いタイミングでの試合延期を覚悟していた。少なくとも1週間前から、延期を決めるべきだったと思っている。
欧州大陸では、すでにリーグ戦が無観客試合で開催されていた。英国でも初の感染報告から1カ月が過ぎて、件数が著しく増え始めていたタイミングだった。
にもかかわらず、3月8日には7万人を超す大観衆を集めたオールド・トラッフォードでマンチェスター・ダービーが開催されている。さらに11日は、約5万2000人が詰めかけたアンフィールドでリバプールがA・マドリーとのCL16強第2レグを戦っている。
アルテタ監督やオドイらが感染。
その翌日のこと。今季途中からアーセナルで指揮を執るミケル・アルテタの感染が公にされ、チェルシーはカラム・ハドソン・オドイの感染確認(プレミア選手として初の事例)を報告した。この展開がなければプレミアリーグが緊急会議を開くことも、その場で延期が決定することもなかったと思われる。
この国の人々に言わせれば、現状は「キープ・カーム・アンド・キャリー・オン」ということになるのだろう。
それは第二次世界大戦の突入前、当時の英国政府のポスターに記された「慌てることなく、普段通りに」を意味する有名な標語だ。
プレミア観戦に訪れた旅行者の中にも、標語の後半を「○○をサポートしよう」に変えたパロディーメッセージの入ったグッズを、土産屋やクラブショップで目にしたことがある方がいるのではないだろうか?