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非常事態にルーニーもコラムで提言。
プレミア日程消化、最善策はあるか。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2020/03/23 11:30

非常事態にルーニーもコラムで提言。プレミア日程消化、最善策はあるか。<Number Web> photograph by Getty Images

サウサンプトンのホームスタジアムの電光掲示板にて。再び歓喜に沸く時を、フットボールの母国も待ちわびている。

サッカーがなくなり庶民も驚き?

 しかし、新型コロナウイルスの問題が深刻さを増す中での反応は有事にも「落ち着いている」のではなく、いつまでも「他人事と思っている」ように感じられた。一方でパニックは避けなければならないのに、3月に入ると消毒ハンドジェルやトイレットペーパーなどの買い占めが見られるようになっていた。

 スーパーの棚が空っぽになり始めたのは3月13日の午後くらいから。昼前にリーグの決定が発表されたことが理由ではないにしても、卵、鶏肉、缶詰からパスタまで、前日までは普通にストックされていた商品が一気に棚から消えた。

 その様子は、サッカーが日常生活の一部と言われる英国庶民が「試合がなくなるほどの事態か」と思ったかのようでもあり、ある意味でイングランドらしい反応のようにも思えた。

 英国内での感染ピークはこれから訪れるとみられ、専門家のピーク予想は5月上旬となっている。ウイルスをもらったり、うつしたりするリスクを、この先も最小限に抑える必要がある。

開催されているイベントがある中で。

 ところが国内スポーツ界全体を眺めると、13日以降も開催されているイベントがある。毎年3月にイングランド南西部にあるチェルトナムの競馬場で行なわれる障害競走も予定通り最終4日目を迎えている。集まった観衆は昨年より3000人ほど減ったが、5万9000人に近い規模である。

 ラグビーやクリケットの試合は、サッカーに右へ倣えをするように開催が見送られたが、そのサッカー界も前述したノンリーグで延期が決まったのは16日のことだった。

 スポーツイベントの開催に関しては、国家のリーダーからして「禁じるだけの医学的根拠がない」と発言していたことを考えれば、致し方ない部分もある。

 見た目が睡眠不足で疲労困憊のボリス・ジョンソン英国首相は、対応の責任を統括者であるFA(イングランドサッカー協会)とプレミアリーグになすりつけたようなものだ。

 ビッグクラブの監督や選手に感染者が現れたことで、延期へと背中を押された格好のFAとプレミアリーグだが、より重要な次なるステップに関しては、今度こそ冷静な対応を望みたい。

 つまり、今季の再開可否を巡る判断だ。

【次ページ】 4月4日の再開はさすがに難しい。

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