プレミアリーグの時間BACK NUMBER
非常事態にルーニーもコラムで提言。
プレミア日程消化、最善策はあるか。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2020/03/23 11:30
サウサンプトンのホームスタジアムの電光掲示板にて。再び歓喜に沸く時を、フットボールの母国も待ちわびている。
4月4日の再開はさすがに難しい。
プレミア関係者で、この期に及んでも4月4日の週末から再び試合を行なえると踏んでいる者は、さすがにいないだろう。
FAのグレッグ・クラーク会長がシーズン完結は不可能とする見方を『タイムズ』紙の記者に明かしたという報道もある。『サン』紙にコラムを持つウェストハムの経営陣は「シーズン無効しかあり得ない」との見解を公言している。
だからと言って、そう決めてかかることもない。前例である第二次世界大戦当時は、まだ開幕から間もなかったため、シーズンの無効扱いは妥当な選択肢だった。
その一方で今季はすでに終盤戦に入り、延長しても日程を完了できる可能性が残されている。UEFA(欧州サッカー連盟)が今夏のEURO2020開催を来年に持ち越す決定を下したことで、国内の2019-20シーズン完結は現実的と言っていい。
ルーニー「9月までになっても」
何より今季の日程完了こそが、シーズンの無効や3月13日時点の順位を最終順位とみなす措置よりも、心情と経済の両面で最も健全な選択肢だと思える。
それはプレミアの残り9節、さらには昇格を懸けたプレーオフを含むフットボールリーグの残り試合を8月、9月に消化することになっても、来季の短縮やリーグカップ休止を強いられることになっても、きっちりと今季を終えて新たなシーズンを迎えるべきだ。
今夏で契約満了となる選手の扱いには配慮と対応が必要だ。ただ15日付け『サンデー・タイムズ』紙のスポーツ面のネタ不足を、コラムを寄稿することで救ったウェイン・ルーニーは「選手としては今季を戦い終えたい。9月までプレーすることになっても構わない」と述べている。
今季無効とする判断は、首位独走で悲願のプレミア優勝に「マジック2」と迫っているリバプールに残酷すぎる。それでもチームを率いるユルゲン・クロップ監督はクラブの公式サイトを通じ、「(リーグの決定に従うことで)人々の健康が守られるなら、それがたった1人であったとしても無条件で従う」とのメッセージをファンに送っている。
首相に爪の垢を煎じて飲ませたい指揮官のリーダーシップを考えれば、このコメントにはプレミア王者の称号を与えたい心境だ。