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板倉滉の反骨心を刺激する、
長谷部誠の言葉と“リツ”の存在。

posted2020/03/15 11:30

 
板倉滉の反骨心を刺激する、長谷部誠の言葉と“リツ”の存在。<Number Web> photograph by Getty Images

激しくボールを奪い合う堂安律と板倉滉。同世代にして共に日本代表の選手同士の勝負が欧州でもっと増えれば……。

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本田千尋

本田千尋Chihiro Honda

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 彼の中で“何か”が蠢いていた。その感情を正確に掴み取ることは難しかった。いずれにせよ、心の中が煮えたぎり、今にも“何か”が吹きこぼれそうだったのは間違いない

 2月28日、冷たい雨が路面を叩きつけるオランダ南部の街、ティルブルフ。

 エールディビジ第25節。4基の照明灯に照らし出されたピッチの上は明るい雨中の攻防戦となり、FCフローニンゲンは守備が崩壊してしまう。

 攻守がめまぐるしく入れ替わる中で、敵は確実にチャンスをモノにしていく。0-1でVVVフェンロに敗れた前節から、ダニー・バイス監督はCB2枚を入れ替えて臨んだが、結果的にテコ入れは効果がなかったと言える。

 この1-3でウィレムIIに負けた試合の後で、板倉滉は、胸の奥で蠢く“何か”を押さえ付けようとしているかのようだった。

「当然出るつもりでいましたけど、試合前のミーティングで今日の試合には出ないことを知ったので、うーん……また頑張らないといけないかなと思いますね」

監督の説明無しに先発落ち。

 U-23日本代表CBは前節2月22日のフェンロ戦で、昨年12月のFCユトレヒト戦以来の先発フル出場を飾っていた。たしかにチームは87分の不用意な失点で敗れたが、もう片方のCBサミール・メミシェビッチとGKセルジオ・パットの連携ミスといったところで、板倉に非があったわけではない。

 板倉個人を90分トータルで振り返れば、ビルドアップや味方との連携においてCBとして安定したパフォーマンスを示しており、そのまま次のウィレムII戦で先発すると考えて、何もおかしくはなかった。

 だが、フタを開けてみると、先発メンバーの中に板倉の名前はない。バイス監督からは、先発落ちについて特に説明はなかったという。

 長身の日本人CBは、努めて前を向き、強い口調で言った。

「もっとしっかりやるぞという気持ち、まだまだ自分には足りないところがあるんだなっていう気持ちにもなっています。やれる自信はある。もっともっとさらに活躍できるように常に意識しながらやっているので、その気持ちを高める必要があるかなと思います」

【次ページ】 「やっぱり試合に出ないと意味がない」

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