スポーツ百珍BACK NUMBER
久保建英のリーガ奮闘ぶりを検証。
ヒデ、香川の欧州1年目と比べると……。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byMutsu Kawamori/AFLO
posted2020/03/15 11:50
エイバル戦でリーグ3ゴール目を決めた久保建英。リーガ1年目ですでに24試合に出場、6得点に絡んでいる。
ブンデスにおける高原、香川の存在。
続いてはブンデスなのだが、ここ10年で挑戦した選手が他リーグと比べて数多いため、こちらは「1部1年目に10試合以上出場した選手」に絞らせてもらう。
<ブンデス>
高原直泰(ハンブルガーSV/2002-03)※
16試合3得点1アシスト
香川真司(ドルトムント/2010-11)
18試合8得点1アシスト
※負傷で後半戦はほぼ離脱
矢野貴章(フライブルク/2010-11)
15試合1アシスト
岡崎慎司(シュツットガルト/2010-11)※
12試合2得点
乾貴士(フランクフルト/2012-13)
33試合6得点8アシスト
清武弘嗣(ニュルンベルク/2012-13)
31試合4得点11アシスト
大迫勇也(ケルン/2014-15)
28試合3得点4アシスト
原口元気(ヘルタ/2014-15)
21試合1得点2アシスト
武藤嘉紀(マインツ/2015-16)
20試合7得点4アシスト
浅野拓磨(シュツットガルト/2017-18)
15試合1得点
21世紀のドイツサッカーにおいて「日本人アタッカー、結果残せそうだな」と思わせるに至ったのは、やはり高原と香川の存在があったからこそ。
高原のブンデスでのキャリアハイはフランクフルト時代の2006-07シーズン、30試合11得点1アシストだろう。とはいえハンブルガーSV加入1年目から得点を奪っていたし、2004-05シーズンの31試合7得点2アシストも立派な数字だ。
名将クロップのもとで輝いた香川については、2011年アジア杯で骨折して後半戦ほぼ棒に振ったのにこの成績である。
当時から世界屈指の守護神だったノイアーのゴールマウスを2度打ち破ったシャルケとのレヴィア・ダービーは中田のユベントス戦とともに、海外組の伝説として語り継がれるレベルだ。負傷の癒えた香川は翌シーズンに31試合13ゴール12アシストの成績を残し、マンチェスター・ユナイテッドへと旅立っていった。
なお2部経由での成功パターンの代表格は乾(ボーフム)と大迫(1860ミュンヘン)。1部からの挑戦で結果を残したのは清武と武藤だった。
ステップアップの代表例はオランダリーグ。
<その他リーグの主な選手>
小野伸二(フェイエノールト/2001-02)
30試合3得点6アシスト
本田圭佑(VVV/2007-08)※
14試合2得点
宮市亮(フェイエノールト/2010-11)※
12試合3得点5アシスト
久保裕也(ヤングボーイズ/2013-14)
34試合7得点5アシスト
南野拓実(ザルツブルク/2014-15)※
14試合3得点3アシスト
中島翔哉(ポルティモネンセ/2017-18)
29試合10ゴール12アシスト
堂安律(フローニンゲン/2017-18)
29試合9得点4アシスト
伊東純也(ヘンク/2018-19)※
13得点3得点2アシスト
(プレーオフの成績含む)
いわゆる4大リーグではない国を選んで飛躍につなげるパターンは多く、その代表格はオランダだろう。その中で本田は冬の移籍でVVVに加わり、1年目は結果を残せずチームも降格。しかし翌シーズンは2部で36試合16得点14アシスト、MVPに輝いた反骨心はさすがだった。彼らの流れを受け継いでいるのはフローニンゲンを選び、PSVへと移った堂安である。
久保裕也のスイスでの成功を契機に、近年はオランダ以外にもベルギーはじめ各国に活躍を求める選手が増えている。その中で中島はポルトガル、南野(2年目は32試合10得点4アシスト)はオーストリアを選んだ。
オランダを含めて図抜けた数字を残す必要性があっても、しっかりと結果を残せばステップアップを図れる――。それは森保ジャパン2列目の主力である中島、南野、堂安、伊東が示している。