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プレミア来季CL権、2枠争いが熱い。
チェルシー、マンUの命運を握る男。
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byGetty Images
posted2020/03/12 11:40
マンチェスター・ユナイテッドは進境著しいイガロの活躍によって、CL出場権を得られるか。
レスターの勢いが鈍ってきている。
トッテナムとシェフィールドを消し、残ったのはレスター、チェルシー、ユナイテッド、ウルブズ。それぞれのキープレーヤーをチェックしてみよう。
レスターの勢いが鈍ってきた。2020年は3勝2分4敗。4敗のなかにはサウサンプトン、バーンリー、ノリッジ戦が含まれる。やはり、ある男の負傷欠場が痛かった。ウィルフレッド・ディディである。驚異的な運動量と類稀な状況判断でパスカットし、シンプルかつ素早く前線につなぐ。レスターの攻守はディディが基軸だった。
ところが、1月7日のトレーニング中に半月板を負傷。以降レスターのリズムが狂った。ディディに代わりアンカーに起用されるケースが多いハムザ・チャウドリーは、ボールに食いつきすぎる傾向が強い。
バランスを考えずに飛び出した結果、2センターバックが無防備にさらされる。インターセプト能力も凡庸で、高い位置でボールを奪ってもショートカウンターに結びつけられない。
ディディの名前がスターティングラインアップから消えてから、レスターの勝率は2割。先発すると6割8分4厘。とくにジェイミー・バーディーの落ち込みは極端で、ディディ不在の試合では1点も決めていない。
痛めた半月板は徐々に回復して、第28節のノリッジ戦に67分から出場。ブレンダン・ロジャーズ監督も「快方に向かっている」と語っていた。しかし、データは正直だ。ディディにアクシデントが再発するようなことがあると、レスターは手をかけていたはずのCL出場権を取り損なう。
チェルシーはミスが多いGKケパ次第。
チェルシーはGKケパ・アリサバラガ次第だ。イージーミスが多すぎる。枠内に飛んだシュートはほぼ決められる。フランク・ランパード監督との不仲説も囁かれ、今シーズン終了後の退団→ラ・リーガ復帰は決定的との情報まで飛び交いはじめた。
不振の原因はどこにあるのだろうか。
技術的に問題があるとは思えない。昨シーズンのケパは数多くの好守を見せ、ミドルレンジのパントキックでビルドアップの起点になっていた。25歳。技術が錆びつくような年齢でもない。
精神的な問題があるとしたら、メディカルスタッフと密な連携を図らなければならない。心理学の権威にアドバイスを求めてもいいだろう。控えはウィリー・カバジェロだ。あらゆる面でケパより劣る。3番手のジェイミー・カミングは20歳。最終盤のゴールマウスを任せられるはずがない。