熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
ロナウジーニョ逮捕劇の一部始終。
40歳誕生日はパラグアイ留置所か。
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byREUTERS/AFLO
posted2020/03/10 20:30
パラグアイでの取り調べ後のロナウジーニョ。サッカーファン誰もがこんな姿を見たくなかったはずである。
偽造とは知らなかったと供述。
彼らは所持品を調べ、2人の名義のパラグアイのパスポートとIDカードを発見した。パラグアイ内務省のデータベースと照合したところ、これらの証明書の登録番号はいずれも実在していたが、本来は別のパラグアイ人に発行されたもので、写真と個人データが改竄されていた。
この夜、2人はホテルで拘束された。
翌5日早朝、ロナウジーニョとアシスはアスンシオン市内の検察庁へ連行され、約8時間の取り調べを受けた。
2人は、「同行したブラジル人実業家から、パラグアイのパスポートとIDカードを渡された。偽造とは知らなかった」と供述した。
この時点で、担当の検察官は、「2人は捜査に全面的に協力してくれた。当面、逮捕する予定はない」と地元メディアに語っている。
自国のIDカードを見せればいいはずが。
南米南部共同市場(メルコスル)の加盟国の市民は、他の加盟国に入国するのにパスポートもビザも不要で、自国のIDカードを見せるだけでよい。ブラジルとパラグアイは共に加盟国なので、ロナウジーニョとアシスはブラジルのIDカードを見せれば何の問題もなくパラグアイに入国できた。
この時点では、2人が偽造パスポートとIDカードを所持し、使用したことは違法行為ではあるものの、偽造に関与していない限り、重罪ではないと思われた。
ところが、6日になって風向きが変わった。
2人と一緒にパラグアイに入国したブラジル人実業家が逮捕される。するとその人物が「偽造のパスポートとIDカードは、ダリア・ロペスから手渡された。彼女は、ロナウジーニョとアシスに『パラグアイでビジネスをしたければ、この国のパスポートとIDカードがあると非常に便利だ』ともちかけていた」と供述した。