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ラツィオ、20年ぶりスクデットへ。
インザーギ監督と大穴軍団が駆ける!
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2020/03/07 11:50
前回優勝時のラツィオにはネスタ、ネドベドらといったビッグネームがいた。それから20年。ライトブルーの俊英たちがスクデット獲得の好機を迎えている。
勝ち方がスカッとしているのだ。
今季のラツィオが真にスクデットに値するチームだと周囲に知らしめたのは、昨年12月の第15節ユベントス戦と、続く第16節カリアリ戦だ。
「オリンピコ」にユーベを迎えたホームゲームはC・ロナウドに先制点を許すが、その後に3点を奪い返した好ゲームだった。
一方でアウェーのカリアリ戦は低いゲームテンションからか開始早々に失点。敗戦濃厚と思われた後半ロスタイムの93分にL・アルベルトが同点弾を、5分後にFWフェリペ・カイセドが逆転ゴールを叩き込み、底力を見せつけた。
最後までボールを繋いで、相手を崩して、ゴールを陥れる。相手が負けを認めざるを得ないような天晴れな勝ちっぷりだから、遺恨も残らない。勝ち方がスカッとしているし、何より選手たち自身がプレーしていて気持ちがいいのが伝わってくる。
エースとサブの点取り屋が抱き合う。
チームの結束を示す象徴的なシーンはボローニャ戦でも見られた。
21分にチーム2点目を決めたホアキン・コレアは一目散にベンチに向かうと、この試合サブに回ったカイセドと抱き合って歓喜を分かち合った。
絶対エースであるインモービレがいる以上、2トップの残る1つの椅子を奪い合う2人はライバルだ。それは本来なら無頼であるプロ同士が、チームが目指す大きな目標のために刺々しい競争意識を捨てた証だった。
これは主将セナド・ルリッチやMFマルコ・パローロ、MFダニーロ・カタルディが控えに回る中盤や最終ラインにも言えることで、レギュラー組とサブ組が一丸となって戦えるチームが強いのは自明だ。
験を担ぐナポリ辺りと異なり、昨年末あたりからラツィオのロッカールームでは「スクデット」を口にすることはタブーでも何でもなくなっている。