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ラツィオ、20年ぶりスクデットへ。
インザーギ監督と大穴軍団が駆ける!
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2020/03/07 11:50
前回優勝時のラツィオにはネスタ、ネドベドらといったビッグネームがいた。それから20年。ライトブルーの俊英たちがスクデット獲得の好機を迎えている。
20年前の優勝時は豪華な梁山泊。
20年前の優勝チームは、まるで世界選抜みたいな顔ぶれだった。
シーズン最多得点を奪ったインザーギの他に、FW陣にはロベルト・マンチーニ(現イタリア代表監督)やチリ代表マルセロ・サラス、クロアチア代表アレン・ボクシッチ、中盤にはパベル・ネドベド(現ユベントス副会長)とMFセルジオ・コンセイソン(現ポルト監督)、MFディエゴ・シメオネ(現A・マドリー監督)。
そしてDF陣を束ねたのは主将アレッサンドロ・ネスタにシニシャ・ミハイロビッチ(現ボローニャ監督)など多士済々、まさに実力者たちによる梁山泊と呼ぶに相応しい。
どんなコンペティション予想でも本命か対抗が順当で、穴馬扱いなんて考えられない。スクデットに加えてコッパ・イタリアとUEFAスーパー杯、圧巻のシーズン3冠も納得の巨大戦力だった。
年俸総額は金満ユーベの約4分の1。
2000年の豪華チームに比べて、今季のチームはいかにも“庶民派”だ。
他の4大リーグの優勝争いを見渡してみても、ラツィオほどサラリーが低いチームは見当たらない。選手たちの年俸総額6550万ユーロ(税抜き)は金満ユベントスの約4分の1なのだ。
「それでも、今のラツィオはユーベより強い。個々の選手だけで比べたら劣るかもしれないが、“やってやる”という闘志と熱気が違うよ」
2000年の控えGKだったマルコ・バッロッタは後輩たちにエールを送る。OBたちは期待せずにいられない。
さらに、ラツィオには大きなアドバンテージがある。日程の利だ。
彼らは残り3カ月の間、ラツィオはセリエAの12試合を戦うだけでいいが、国内リーグに加えてコッパ・イタリアとCL、ELに勝ち残っているユベントスは最大21試合、インテルに至っては最大23試合をこなさねばならない過密スケジュールが重くのしかかる。
ただでさえ仇敵同士のユーベとインテルは互いにいがみ合いながら心理的に消耗し、ストレスフルな3カ月を過ごすだろう。