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松井裕樹に代わる新守護神に名乗り!
森原康平が狙う全球種2kmアップ。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byGenki Taguchi
posted2020/03/04 11:30
山陽高、近畿大、新日鉄住金広畑を経て、2016年ドラフトの5位で楽天に入団した森原。日本代表候補にも名前が挙がる。
日に日に強まった松井への敬意。
勝利の方程式を任される以上、中継ぎも抑えも、1点の重みは変わらない――昨季の当初は、そう思っていた。しかし、登板を重ね、僅差を守り、守護神へとバトンを繋ぐ度に、松井への敬意が強くなっていく自分を認識していったというのだ。
つまりそれは、森原が抑えにしかわかりえない苦悩を共有できた瞬間でもあった。
「1回から8回まで、リードを守ってくれたピッチャーの想い。点を取ってくれたバッターの想い。起用してくれる監督、コーチの想い。勝利を願うファンの想い。抑えって、いろんな想いを背負ってマウンドに立たないといけないんだなって。プレッシャーがあるなかで、みんなが納得するパフォーマンスを出さないといけないわけじゃないですか。すごく重いポジションだなって思いました」
「裕樹って、めっちゃ野球好きなんです」
思考に変化が訪れた森原が、改めて松井の一挙手一投足を観察する。トレーニングから登板までのルーティン。全てが綿密に計算されており、そのための学習にも労を惜しまない姿勢を知った。
松井より4歳年上の森原が、嘆息を漏らす。
「裕樹って、めっちゃ野球好きなんです。高校野球からメジャーまで、選手の名前とか成績とか詳しすぎるし、ルールも細かいところまで知ってるんです。練習とか野球の取り組みも、『そこまで考えてんの?』って思うくらい、突き詰めている。
自分のほうが年上なんですけど、裕樹は本当にしっかりしてるなって。それくらいじゃないとクローザーは務まらないんだなって思いました」
勝ちパターンで得た信頼と実績を糧とする。そして、重責を担ってきた松井の意志を受け継ぎ、今季、守護神に挑む。