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松井裕樹に代わる新守護神に名乗り!
森原康平が狙う全球種2kmアップ。
posted2020/03/04 11:30
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph by
Genki Taguchi
楽天の森原康平にとって、今季はふたつの「初めて」がある。
ひとつは、背番号が「52」から「13」に変更したこと。
昨年まで岩見雅紀が付けていたこともあって、春季キャンプで違和感があることを正直に告げると、森原自身も「自分もっす。まだ慣れませんね」と、笑顔で乗ってくれた。
そして、もうひとつが守護神への挑戦だ。
これまで、その大役を担っていた松井裕樹が先発に転向したことで、中継ぎで実績を残す森原をはじめ、宋家豪やアラン・ブセニッツらで争う構図となっている。
抑えが空席となっている以上は、そのポジションを狙う。迷いはない。「当然でしょ」と言わんばかりに、森原が声を張る。
「先発だったらエースになりたいし、中継ぎだったら勝ちゲームの7回、8回を投げたい。だから、抑えになれるチャンスがあるんだったら、なりたいですよね」
森原は昨季、中継ぎ投手にとってレギュラーポジションである、勝ちゲームの8回――いわゆる「勝利の方程式」の一角を担った。チームで松井に次ぐ64試合に登板し、29HP、防御率1.97と安定感を誇示。楽天のクライマックスシリーズ進出に貢献した。
松井裕樹の前を投げる、という経験。
150キロを超えるストレートに落差のあるフォーク、切れ味鋭いスライダー。森原の代名詞である高い制球力など、投手としての能力が、結果を支えているのは間違いない。
それらのスキルと同等に森原のバックボーンとなっていたものこそ、守護神に君臨していた松井の存在なのだという。
「去年1年間、裕樹の前を投げさせてもらえたのはデカかったです。12球団でナンバーワンのクローザーだと思っているし、その裕樹がいたからこそ、自分は8回を投げられたんで。めちゃくちゃプラスでしたね」
森原は強調するように、そう言った。