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マンUウッドワード副会長の功罪。
なぜ超拝金主義者が強化担当に?
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byGetty Images
posted2020/02/13 19:00
ユナイテッドのウッドワード副会長(右)。ビジネスの才覚がある一方で、強化の分野については……。
大手企業とのスポンサーが続々と。
ウッドワードの業績ではない。その程度の男がなぜ副会長を務め、強化を担当できるのだろうか。
彼がフットボール人ではなく、ビジネスマンだからだ。
リバプールとマンチェスター・シティにはるか先を行かれ、レスターやウォルバーハンプトンにも激しい突き上げを食らっているユナイテッドだが、ピッチを離れると好調だ。
「アディダス」や「ゼネラルモーターズ」、「20世紀フォックス」といった大手企業とのスポンサー契約で、キャッシュフローは順調そのもの。これもひとえに、ウッドワードの尽力によるものだ。
移籍市場では役立たずだが、営業努力によって巨万の富をもたらす副会長を、オーナーのグレイザー・ファミリーが手放すはずがない。OB、メディア、サポーターが「ウッドワードは営業専念。業界で顔が利く人間を強化担当に」と叫んでも、馬耳東風を決め込んでいる。
ビジネス臭が強すぎるがゆえに。
しかもユナイテッドを買収した際の元本返済が、この10年で確実に進んでいる。本業が悪くてもキャッシュを産み、返済もスムーズ。グレイザーにとって、ウッドワードはリオネル・メッシをも上回る存在なのだろう。ユナイテッドはフットボールのクラブではなく、すっかり法人化してしまった。時代の流れかもしれないが、ビジネス臭が強すぎる。
グレイザーとウッドワードの歪んだ舵取りにより誤った方向に進むユナイテッドだが、今シーズンは少なくとも4位以内に入らなければならない。
ポグバが使えず……いや、もう諦めた方がいい。移籍が叶わなかったことに腹を立て、駄々をこねているとしか思えない。足首の負傷に悩まされているとはいえ、心ここにあらずの選手を戦力として計算するのはあまりにも無謀だ。移籍金は少なく見積もっても110億円。半年後、きれいなからだで送り出してやればいい。