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マンUウッドワード副会長の功罪。
なぜ超拝金主義者が強化担当に?
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byGetty Images
posted2020/02/13 19:00
ユナイテッドのウッドワード副会長(右)。ビジネスの才覚がある一方で、強化の分野については……。
必須だったB・フェルナンデス獲得。
こうした事情を分かっているからこそ、オーレ・グンナー・スールシャール監督はB・フェルナンデスの獲得をリクエストしたに違いない。ポグバに代わって中盤をオーガナイスできるMFは、是が非でも必要だった。
一昨シーズンから2シーズン連続でポルトガルリーグのMVP。高度なスキルと卓越したビジョンで、ゴールにアシストに奔走する。プレミアリーグの水に馴染むまでの時間は必要だが、B・フェルナンデスが加わるだけで攻撃のバリエーションは豊富になるだろう。前線が動いてもパスが来ないという近ごろの課題は、多少なりとも改善される公算が大きい。
ポイントはB・フェルナンデスの配置だ。2列目中央か、インサイドハーフか、中盤インサイドか。本稿執筆時点ではフレッジが定位置を確保した格好だ。攻守の切り替え、運動量、闘争本能は申し分なく、存在感が日増しに大きくなりつつある。
マティッチも復調してきた。加齢によってプレー強度が落ち、行動半径も狭くなっているが、週1ペースなら使える。そして、マタもプレー強度に問題はあるが、ライン間に入ったり、サイドに流れたり、ボールを引き出す動きは相変わらずうまい。
中盤でお払い箱となるのは……。
したがって、フレッジとマティッチが中盤センター、B・フェルナンデスは2列目中央。もしくはフレッジがアンカーで、インサイドハーフにマタとB・フェルナンデス。この4選手をうまく使っていくことが肝要だ。膝の回復が遅れているスコット・マクトミネイは、ゲームプランにはまだ加えられない。
また、どこで起用されても中途半端なアンドレアス・ペレイラは戦力外か。自陣でのボールロストも少なくなく、何がしたいのか常に意味不明だった。
さらに、プレミアリーグでは1年以上もノーゴール、ノーアシストのジェシー・リンガードも不要だ。背骨の疲労性骨折で戦列を離れているマーカス・ラッシュフォードは復帰まで時間がかかる。前線はひとりでも多くの駒を揃えたいところだ。
とはいえ、シュート技術でメイソン・グリーンウッドに劣り、新加入のイガロほどポストワークに長けていないリンガードが必要とは思えない。ジェイムズのようなスピードもない。優先順位の低い選手が戦力外になるのは、プロの世界では至極当然だ。