欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
吉田麻也がセリエAに移籍した理由。
想像「してなかったねー」、でも……。
posted2020/02/13 11:40
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph by
ZUMA Press/AFLO
この冬の移籍で、最も注目を浴びた日本人は紛れもなく南野拓実だ。
ザルツブルクで雌伏5年、現時点のイングランド・プレミアリーグだけでなく欧州のナンバーワンクラブであり、ナンバーワン監督の率いるあのリバプールに移籍を果たした。スタメン定着には多少時間も労力も要するだろうが、間違いなくここ数年で最も派手で話題性のある移籍だった。
一方で、日本から4大リーグへの移籍が1件もないことに危機感を抱かなくてはいけない。日本選手への評価、Jリーグへの評価が一時期とは変わってきていることを如実に意味している。
南野のキラキラとした希望に満ちた移籍とは対照的に、吉田麻也のプレミアサウサンプトンからイタリアセリエAサンプドリアへの移籍はいぶし銀の輝きを放つ。移籍期限最終日に、まさかのプレミア以外への移籍である。
「ぬるま湯につかりすぎたなって」
自身にとってオランダ、イングランドに続く3つ目のリーグで、3つ目のクラブがセリエAになるとは想像「してなかったねー」と笑いこう続けた。
「まあでも、(イングランドとイタリアは)全く違うね。飛行機で2時間だけど、全く違うなって。長い間ぬるま湯につかりすぎたなって思います。良い環境にいて、だからなんでも準備してもらえて、やっぱりクラブが大きいから、サウサンプトンは。
フェンロに初めて来た時、オランダに初めて入った時のような気持ちです。すごく、やってやろうという気持ちでいます」
初めてベンチ入りしたトリノ戦後に、吉田はそう話した。周囲の選手と片言のイタリア語で軽口を叩きながら、楽しそうだった。
吉田は今シーズンに入って、サウサンプトンではほとんど出場機会がなかった。それでもこれまでであればシーズン終盤に向かって出場機会を得ていく流れがあった。なので残留が濃厚だという見方をされていたが、今回は移籍を選択した。
一説にはサンプドリアとサウサンプトンのクラブ間で別の選手を移籍させることが決まっていたが本人の意思に沿っておらず、吉田にお鉢が回ってきたとも言われている。だとしても、選択したのは自分だ。