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MLB殿堂で起きる謎現象とモラル。
薬物疑惑のボンズ、Aロッドは……。 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byUSA TODAY Sports/AFLO

posted2020/01/26 11:50

MLB殿堂で起きる謎現象とモラル。薬物疑惑のボンズ、Aロッドは……。<Number Web> photograph by USA TODAY Sports/AFLO

殿堂入りを果たしたジーター(右)とウォーカー。ヤンキースのキャプテンとして抜群の知名度だったジーターに比べるとウォーカーは……。

Aロッド、サイン盗みベルトランも。

 あと2年、2人の得票がどう動くか? それはMLBの価値基準やモラルがどう変わるか、の問題にもつながってくる。

 2022年には通算696本塁打の「A-ROD」ことアレックス・ロドリゲスも候補資格を得る。彼のWARは117.8。本来なら1年目で一発当選のはずだ。しかし彼も薬物疑惑を持っている。

 彼はクレメンスやボンズとは異なり、違法薬物の使用が禁止された後に薬物使用が発覚した。彼をどう扱うかは、また難しい問題になるだろう。

 さらに2023年には、今回のアストロズを中心とするサイン盗みの問題で就任したばかりのメッツの監督を辞任したカルロス・ベルトランが、候補資格を得る。彼のWARは69.6で主要タイトルも取っていないから、もともと当選は微妙ではあるが、彼の得票に「サイン盗み」の前歴がどのようにからんでくるかも注目だ。

 こう考えてみると、野球殿堂入り投票で評価されるのは、選手たちだけでない、彼らに票を投じる記者たちも“歴史の審判”を仰いでいるのだ、ということがわかる。

 日本もアメリカも、あだやおろそかに票を投じてほしくない――そう切に願う。
 

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#デレク・ジーター
#バリー・ボンズ
#ロジャー・クレメンス
#ラリー・ウォーカー

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