イチ流に触れてBACK NUMBER
史上最高の遊撃手ジーターが殿堂へ。
“後継者”イチローとの特別な関係。
posted2020/01/25 11:50
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph by
Kyodo News
『ニューヨークの貴公子』『The Captain』『Jee』
どれも、米国の野球殿堂入りを果たした元ヤンキースのデレク・ジーター氏の愛称だ。
ヤンキース一筋20年。歴代6位の通算3465安打は遊撃手として史上最多であり、ゴールドグラブ賞受賞は5度。オールスター出場は14度にも及び、ワールドシリーズ制覇も5回経験している。
MLB史上最高の遊撃手であり、そのキャプテンシーは昨今の球界では右に出る者はいないと評価される。
その彼の殿堂入りを疑うものはいなかったが、唯一の焦点は、昨年史上初の快挙で得票率100%を集めたマリアノ・リベラ氏(元ヤンキース)に次ぐ満票当選なるか、にあった。
結果は397票中396票。
野球人として“パーフェクト”とも言える彼の殿堂入りに異論を唱える記者がたったひとりいたために夢は叶わなかったが、それでも得票率99.7%は'16年に選出されたケン・グリフィーJr.氏の99.3%を上回る。堂々の野手史上1位となった。
満票当選の次の候補はイチロー。
米メディアはジーター氏の殿堂入りに投票しなかった記者を探し説明責任を果たせと鼻息も荒いが、ジーター氏が満票当選を逃したことで次にその夢を託す存在として、名が挙がったのがイチローさんとなった。
そのイチローさんが殿堂入り資格を満たすのは2025年。現役引退後も夢を託される存在として繋がったジーター氏とイチローさんには、ふたりだけが共有する素敵な世界があったことを今、思い起こす。
'12年途中から'14年にかけヤンキースでチームメイトとなったが、イチローさんにとっては以前から同じプレーヤーでありながらジーター氏は憧れの存在だった。フィールド内でかもし出す大人の雰囲気と落ちつき払った立ち振る舞いは「選手として理想像」とまで言った。