球体とリズムBACK NUMBER
「日本の早期敗退は驚きでした?」
カタール監督に質問、率直な答え。
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byJFA/AFLO
posted2020/01/20 20:00
昨年のアジア王者に輝いたカタールだが、日本戦でのドローで五輪切符は逃した。
今大会の日本の印象について聞いた。
明らかに我が国の代表に一目置いている。そんな響きだったので、直後に機会を得て、今大会の日本の印象を尋ねてみた。「日本の早期敗退は驚きでしたか?」と。
「日本は強いチームだ。個人もチームも素晴らしい。ここまでの並々ならぬ努力が知れる。ただし、フットボールではディテールが違いを生む。だからどんなことでも起こりうるのだ。
我々にとって、日本戦はいつも大きな挑戦となる。五輪本大会で日本は素晴らしい戦いを見せてくれるだろう」
ちょっと怒ったような、驚いたような表情(おそらく返答するときの彼の自然な姿だと思う)で、フェリックス監督は真摯に答えた。代表監督とメディアの関係は、こうでないと面白くない。
スタイルや方向性はきっと正しい。
とはいえ、この大会で惨敗続きだった日本を持ち上げすぎている気もしたので、会見後にミックスゾーンでフェリックス監督を捕まえた。「日本にとって素晴らしい五輪になると言いましたけど、本当にそう思っています?」と。
「正直にそう思っている」と、また大きく目を見開いてバルセロナ出身の指導者は言った。
「東京五輪でもっとも良いパフォーマンスを見せてくれるチームのひとつだと、私は見ているよ。なにしろ、日本は(2019年10月に)ブラジルの地でブラジル代表を破ったじゃないか。そんなことは、なかなかできるものではない。
それ以外にも日本の試合をたくさん観てきたが、スタイルや方向性はきっと正しいと思う。あなた方の期待が高いのも理解できる。けれど、物事にはステップというものがある。本番で最高の力を発揮できればいいのだ」
バルセロナの下部組織ラ・マシアで長年コーチを務め、2013年からカタールでA代表を率い、その後U-23、U-19と3世代の代表チームを兼任。すでに大きなタイトルを取っている指揮官の言葉だ。信じてもいいのかもしれない。