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得点王争いで独走するインモービレ。
ラツィオ、20年ぶりの優勝へ期待感。
text by
神尾光臣Mitsuomi Kamio
photograph byGetty Images
posted2020/01/18 09:00
前半戦20ゴールと好調を維持するFWインモービレ。ラツィオを20年ぶりのスクデットへ導けるか。
シモーネ・インザーギ体制が成熟。
育成組織やスカウティング網もアップデートを図り、基盤のしっかりしたクラブ運営を進めた。徐々に盛り返したチームは2014-15シーズン、ステファノ・ピオーリ監督の下で3位に食い込んでいる。
ただ緊縮財政下では主戦力の引き止めが叶わず、他の強豪クラブのように選手を買い漁ることもできないため、チームの成績は右肩上がりでよくはならない……。前シーズンの臨時監督を経て2016年7月に正式就任したシモーネ・インザーギ監督下でも、そんな現状は変わらなかった。そこからの2シーズンは、良くも悪くもチームの実力通りで5位。昨シーズンは8位で終えている。
そうしたなか、長年クラブに関わり、選手たちを熟知するインザーギの下、選手は地力を伸ばしていった。昨季はコッパ・イタリアに優勝、戦術は浸透して個々も成長を見せた。迎えた今シーズンも新戦力の補強は最小限だったが、開幕前に「充実したトレーニングを積むことができた」と指揮官は手応えを口にした。
そして第9節のフィオレンティーナ戦を皮切りに、成熟したチームづくりが花ひらいた。現在、各選手はチームとしてやるべきことを完璧に理解し、己の実力を発揮している。
戦術を遂行する駒が揃うラツィオ。
システムは3-5-2をベースにし、ボールの位置に従って4-4-2や5-3-2、そして5-4-1などにも細かく変化し、自陣のスペースを的確に埋めていく。そして一度ボールを奪えば、素早く攻撃へ切り替えてカウンターを主体に相手を攻略する。低い位置から攻撃を始める場合は後方の選手を起点に組み立てを図りつつ、前線に5人の選手を送り込んでゴールに迫る。また、高い位置でボールを奪うことに成功した場合は、選手の個人技をシンプルに活かして少ない手数でフィニッシュに持ち込む。
そのために必要とされるキャラクターの選手が各ポジションに揃っている。これが今のラツィオの強さだ。