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補欠でボール拾いから不屈の4年間。
卓球・平野美宇、打倒中国への覚悟。 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byAFLO

posted2020/01/12 09:00

補欠でボール拾いから不屈の4年間。卓球・平野美宇、打倒中国への覚悟。<Number Web> photograph by AFLO

昨年12月、中国・鄭州で行われたグランドファイナルの初戦で敗れシングルス代表出場権を逃し、涙を見せる平野。

平野が涙とともに語った言葉とは?

 その中でまず伊藤が抜け出し、実質、代表の座を得た。続く2人目を巡り、平野と石川がランキング対象の最終戦まで争う展開となる激戦の末、石川がつかんだ。

「頑張ってきたことが足りなかったな、って」

 平野は涙とともに語った。

 だが3人目に選出されるに至ったのは、リオからの頑張りゆえにほかならない。馬場監督の説明にあった各大会の成績は、その象徴だ。

世界一に向け、平野も重要な位置を占める。

 東京五輪では、これまでと異なり、団体戦の1試合目にダブルスが行なわれる。

 最初の試合だけに、流れをつかむために重要な試合となるが、現段階では、平野と石川の出場の可能性が高い。さらに平野はシングルスにも1試合は出ることになる。

 競い続けてきたライバルは、強敵であればあったほど、同じチームの一員となれば、今度は心強いメンバーとなる。伊藤や石川にとって、平野はそういう存在だ。

「代表に選んでいただき、大変うれしく思います。金メダルを目指し、石川選手、伊藤選手と力を合わせてチームに貢献できるように精一杯頑張ります」

 中国を倒し、世界一をつかめるか。

 そのために平野もまた、重要な位置を占める。

 何よりも平野にとって、念願の大舞台だ。笑顔で終えられる大会を――積み重ねてきた時間は、きっと糧になる。
 

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