オリンピックへの道BACK NUMBER
失意の五輪落選直後に全日本制覇。
卓球・早田ひな「限界は作らない」。
posted2020/01/26 20:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
人は簡単に変わることはできない。
でも変われる。
そう感じさせたのは、卓球の早田ひなだった。
1月13日から19日にかけて行なわれた全日本選手権で、伊藤美誠と組んだ女子ダブルスで3連覇を達成、そして女子シングルスでは念願の初優勝を遂げた。
シングルスの戦いぶりを振り返ると、準決勝で伊藤を、決勝では石川佳純と対戦して勝利。東京五輪代表の2人を連破しての優勝であった。
決勝では、これまでとの違いが見られた。持ち味の1つは、両ハンドの強打だが、それゆえに、ミスが出ることもあった。諸刃の剣だった。
だが、力を抑えてコースを狙って打つ加減の仕方が、試合にはあった。
「70パーセントの力でコースを突く」
そう心がけたという。
こうしたプレー面での工夫があってつかんだ、初戴冠だった。
「平野選手、伊藤選手に続きたい」
早田は伊藤と平野美宇と同じ、2000年生まれだが、早田だけ全日本のシングルスでの優勝を果たしていなかった。
「平野選手、伊藤選手に続きたいという思いはありました」
今回、全日本優勝という実績では伊藤、平野に肩を並べることになった。
そんな思いはあったにせよ、気持ちの面では難しい大会と見ることもできる大会だった。
早田が目指していた東京五輪代表には、世界ランキングで日本勢上位2名となった伊藤、石川。そして大会を前にした1月6日には、団体戦メンバーとして平野が選出された。