オリンピックへの道BACK NUMBER
補欠でボール拾いから不屈の4年間。
卓球・平野美宇、打倒中国への覚悟。
posted2020/01/12 09:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
激戦の続いていた卓球の東京五輪代表争い。今月6日、すでに確定していたシングルス代表の男女各2名に加え、団体戦用メンバー各1名が決定し、その終着を見た。
最後に決まった男子の1名は水谷隼。そして伊藤美誠、石川佳純のシングルス2名に続く女子3人目は、平野美宇であった。
シングルス2名は2020年1月発表の世界ランキング上位2名が選ばれることになっていたが、3人目はダブルスでの貢献度など総合的に判断して選ぶことになっていた。
世界ランキングから見れば、日本勢2番手の石川とランキング対象の最後の大会まで競り合い、日本勢3番手に位置する平野に分があった。
ただ、日本が悲願とする打倒中国を果たして金メダルを手にするための戦略を描いたとき、他の選手の名前が浮上することもあった。
リオデジャネイロ五輪での挫折。
どのような選考になるのか注目が集まっていたが、女子代表の馬場美香監督が選考理由を次のように説明した。
「昨年、出場した国際大会のダブルスで石川と組み、アジア選手権で銅メダル、ワールドツアーで準優勝、3位など好成績を残し、ダブルスで団体戦に貢献できると判断しました」
「2017年のアジア選手権シングルスで中国の3選手を破り金メダル、世界卓球では銅メダルを獲得。また世界卓球2019でシングルスベスト8、世界ランク11位と日本人選手上位3番目の成績を残し、団体戦のシングルスでも活躍できると考えます」
その選考理由には、平野のこの4年の重みが込められていた。
小学生の頃から頭角を現し、脚光を浴びる存在だった平野にとって、挫折となったのは、2016年のリオデジャネイロ五輪だった。
出場を目指しながら日本勢4番手にとどまり、代表入りを果たせなかった大会だ。