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セリエAの“忘年会事情”が面白い。
着こなしで「8点」の高評価は誰だ。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2019/12/25 15:00

セリエAの“忘年会事情”が面白い。着こなしで「8点」の高評価は誰だ。<Number Web> photograph by Getty Images

ユベントスの忘年会、つまりはクリスマスパーティーの一幕。ブッフォンやキエッリーニらも洒脱な装いだ。

銀座No.1ホストのような男は……。

 セリエAの忘年会は“勝負の場”でもある。

 衆目を集めるハレの舞台だけに、出席者たちの装いや着こなしがチェックされるのだ。

 有力紙『コリエレ・デッラ・セーラ』のファッション記事担当記者の採点によると、最高評価8点を得たのは藍色スモーキング・タキシードを着こなしたFWラウタロ・マルティネス(インテル)。辛口の女性記者は2年目ながらFWルカクと攻撃の核を担う若武者に「フォーマルの場でスリーピースを選んだのは正解」と、ベストドレッサーの評価を与えた。

 ただし、インパクトの度合いでいえば、いぶし銀MFカンドレーバの豹変ぶりに軍配が上がる。妖しく黒光りするクロコダイル柄ジャケットに、ド派手なブラッディレッドの肩出しドレスを着た後妻の腰に手を回す姿はまさに“夜の帝王”。

 昨年までアースカラーがトレードマークだった課長が、いきなり銀座No.1ホストに変身したかのような衝撃に、採点役の記者も唸らざるをえなかった。

 どんなに有名ブランドとはいえ、極彩色をちりばめた開襟シャツと膝穴あきジーンズで出席したナポリのDFマルキュイにはワースト評価の4点が下された。「夏のバカンスでもあるまいし、場を盛り上げるための道化師役でもお呼びじゃない」と散々な言われ様だが、TPOを重んじなかったツケは重い。

 そもそもナポリの忘年会にネクタイを締めた選手は1人もいなかった。カジュアル路線が、やはり北部イタリアとのクラブ風土のちがいを物語る。

小笠原がメッシーナにいた頃の話。

 小笠原満男がシチリア島のメッシーナに在籍していたとき、スポーツ紙の通信員をしていた僕も当時の会長が所有していたホテルに呼ばれたことがある。

 スポンサーや自治体関係者、馴染みの番記者らとともにテーブルを囲ませてもらった。

 皆、スーツを着ているが、ワインが進めば垣根が取れる。ざっくばらんな席で笑顔が5割増しになる。楽しい時間を共有した思い出が、後々の仕事関係をスムーズにするのは万国共通だと知った。現実世界には1か0かのデジタル思考で動かないこともたくさんある。

【次ページ】 クリスマスや忘年会の意義とは。

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