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CLで3連敗から16強進出の逆転劇。
小さなアタランタ、壮大な夢は続く。
text by
神尾光臣Mitsuomi Kamio
photograph byUniphoto Press
posted2019/12/20 11:45
セリエAの中小クラブだったアタランタ。一貫した育成スタイルが実を結び、初CLで16強の快挙を成し遂げた。
戦力を維持してチームワーク重視。
するとそこに有利な状況が重なる。ディナモ・ザグレブとシャフタールとの試合がドローに終わり、彼らはどちらも勝ち点を伸ばせなかったのだ。手痛い3連敗を教訓としたアタランタは、今度はライバルたちを食う立場となった。
まずはディナモ・ザグレブ。多彩な展開の捻出の仕方で相手に的を絞らせず、逆に守備では完全に相手をはめ込む逆の展開。勝って勝ち点差を詰めるとともに、相手には最終節でマンCに勝たなければならない状況を作った。
そしてグループステージ最終節、アウェーで行われたシャフタール戦。前半こそ相手の速攻に手を焼いたものの、生え抜きのGKピエルルイジ・ゴッリーニの好セーブもあってスコアレスでターン。そして後半、サイド攻撃を柱に相手の攻略に成功した。
66分、ゴメスが左サイドをドリブル突破して折り返すと、ティモチー・カスターニェが押し込んで先制。80分にはセットプレーから追加点をあげ、アディショナルタイムには相手のバックパスを拾って完勝した。
相手に隙を与えない戦術的な守備と、素早く華麗な攻撃への切り替え。そして各選手の頑張り。後半の3節の戦いぶりは、実にアタランタらしかった。終わってみれば「戦力を維持してチームワーク重視で戦う」という目論見通りとなったというわけだ。
ラウンド16、バレンシア戦へ自信。
12月16日、決勝トーナメント1回戦の組み合わせ抽選会が行われた。引き当てたのは、これまたCLでの経験が豊富なバレンシアだ。
「メガクラブとの対戦は避けられたが、経験豊富な相手だ」
ペルカッシ会長は地元メディアに相手を評した後で、自らのチームへの自信を口にしている。
「最初の3連敗から、チームは大きく成長できた。ザグレブに0-4で敗れたとき、こんなところに我々が到達できるなんて信じるのは、相当おかしな人ぐらいだっただろう。夢は叶ったのだ」