草茂みベースボールの道白しBACK NUMBER
ドラ1・石川昂弥の父は控え捕手。
親子二代で交差する選抜王者の絆。
posted2019/12/19 19:00
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph by
Kyodo News
中日がドラフト指名した7選手の新入団発表会見が、12月16日に開かれた。
最も多くの注目を集めたのはドラフト1位の石川昂弥である。地元の東邦高出身で、選抜大会の優勝投手というスター性にくわえ、チーム待望の長距離砲というところも大きな魅力だ。
「やっとこのユニホームを着られるなと思っています。小学校のときとはデザインも違うんですが、重みがまったく違います」
6年前の冬に12球団ジュニアトーナメントのドラゴンズジュニアに選ばれている。昨年の根尾昂もドラゴンズジュニア出身だから、2年続けての1位指名ということになる。
ここまでは絵に描いたような野球人生を歩んできた石川の姿を、優しいまなざしで見守っていたのが父の尋貴さんだった。
基礎は父のノックで覚えた。
実は尋貴さんも東邦OBで野球部員だった。好投手の山田喜久夫を擁し、「平成最初の選抜大会」を制した。ただし、尋貴さんはいわゆるメンバー外。捕手として投球練習をサポートするかたわら、持ち前のパワーを生かしてチームメートにノックの雨を降らせるのが仕事だった。
大学進学後に競技者としての野球は断念したが、このときの経験が後に生きてくる。
「ノックは昔からうまいとはよく言ってもらえたんですよ。息子たちにもよく打ちましたね。私が教えたのは基本です。捕る、打つ、投げる。それと考え方ですね。上にいくほどすごい選手は必ずいる。認めることは大事だけど、すごいだけで終わっていたら、そこから上にはいけないよと」
平成の子育てに「巨人の星」のようなスポ根はない。昂弥に野球をやれと命じた記憶はないが、物心がつく前にはごく自然に野球とふれあっていた。