草茂みベースボールの道白しBACK NUMBER
ドラ1・石川昂弥の父は控え捕手。
親子二代で交差する選抜王者の絆。
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph byKyodo News
posted2019/12/19 19:00
優勝したセンバツ大会では全5試合に先発、3本塁打を放つなど投打に活躍。ドラフト会議では3球団が競合した。
小6の昂弥を見て「プロに行ける」
さて、父親はどの段階で息子の才能に気づいたのか。
「チームに入れたのは小学2年のときです。それまではまあ筋は悪くないなくらいだったんですが、いざ同学年の子といっしょにやらせると明らかに違っていました。プロになれるかどうかはわかりませんでしたが、なれればいいなと思ったのがそのときです」
また東邦高で同期だった山田は、昂弥と初めて出会った日のことをよく覚えている。
「少年野球の監督さんも知っていたから、石川の息子がうまいって話は聞いていたんですよ。小学6年くらいかな。初めて見て、これはプロに行けると思いましたよ。投手としても打者としても。本人に聞いたらプロ野球選手になりたいって言う。そこで僕が言ったのは『それなら人と同じことやってちゃ無理だよ』です。人が100の練習をやったら、その先をやる。プロ野球に入る人は、みんなそうですから」
指先ではじいたピンポン球。
高校からドラフト5位で中日に入り、通算6勝8敗。現在はナゴヤドーム近くで「喜来もち ろまん亭」を営み、手作りのわらび餅は好評だ。身近にいたプロ野球選手から授かった一言。並行して父からは野球のためにと2つのことを勧められた。
「小学6年までは水泳に通わせましたし、ピンポン球を打たせました。ピンポン球は家の中でやるので、おもちゃのバットだったり、今は弟がメガホンでやっています。投げるんじゃなく、指先ではじくんです。なんでそれをやらせたかといえば難しいですが、右手で球をつかまえる感覚なんかを養えればなと思いました」
尋貴さんは笑いながら回想したが、指先ではじいたピンポン球は激しく揺れる。動く球への対応力が、遊びの中で身についていく効果があるはずだ。
ちなみに弟の瑛貴さんは現在中学2年生。父と同じ捕手としてドラゴンズジュニアにも選ばれ、すでに身長は180センチに達している。「打つ方は兄かもしれませんが、投げるのは弟の方がすごいかもって(昂弥も)言っています」という将来を嘱望されるボーイズリーガーである。