セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
トッティ、愛するローマと喧嘩別れ。
「42歳の坊や」の見苦しい去り際。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byUniphoto Press
posted2019/12/11 11:15
ローマの王様として誰もが愛したトッティ。相思相愛だったはずのクラブをこんな形で去るとは……。
ムヒタリアンらが続々と負傷も。
開幕4試合で10得点を奪い、攻撃サッカーが本格加速するかと思われた矢先、負傷者続出というブレーキがかかった。
10月初旬までに故障者リストは11人に膨れ上がり、一時はスタメン級が7、8人欠ける異常事態にすら陥った。とりわけDFスピナッツォーラやDFザッパコスタ、MFムヒタリアンといった今季期待の新戦力たちが、秋の時点でことごとく長期離脱したのは、コーチングスタッフにとって小さくない誤算だったに違いない。
だが、セリエA挑戦1年目のフォンセカは苦境に活路を見出した。
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「どうやら、この国のリーグでは突発する事態にどう柔軟に対処できるかが重要らしい。それに、チームをいかに効果的に守らせるか、についてもここで結果を残すためには大事なことだとわかってきた。私も“イタリア流”に適応してやろうじゃないか」
新指揮官はMFペッレグリーニを2列目に引き上げアシストマンに変身させ、新加入DFマンチーニを中盤で起用するなど大胆なコンバートや自由な起用法を次々に敢行した。
スモーリングらが馴染む対話路線。
特に、マンチェスター・Uから獲得した大物DFスモーリングと若手マンチーニに組ませたCBコンビは大当たりで、10月以降の失点数6はリーグ最少を誇る。第5節から第9節にかけて1試合あたりの得点はほぼ1ゴールにまで減少したが、彼らは守り勝つというオプションを手に入れた。
スモーリングや復帰したムヒタリアンら大物外国人選手たちにとって、新天地イタリアと新チームに馴染めるかどうか不安もあっただろう。
ただし、やはり新入りの外様であるフォンセカの対話路線は彼らの不安を取り除き、互いの信頼関係は徐々に強くなっている。
「(イタリア語から英語への)通訳はいるけれど、監督がチームに話をするとき、彼は注意深く、ゆっくり話してくれる。どうプレスをかけるか、どう攻めるか、どう守るか、アイデアが明確でわかりやすい」(スモーリング)
大黒柱ジェコがインフルエンザになってスタメンから外れたときは、昨季のリーグ最優秀ヤングプレーヤー、MFザニオーロが“偽9番”として活躍する。チーム全体の得点者は11人にのぼる。