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アーセナル戦2得点で人気急上昇!
鎌田大地を包む温もりと団結心。
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byGetty Images
posted2019/12/09 11:00
長谷部誠も飛び上がって喜ぶほどのファインゴール2発。アーセナルのエメリ政権に終止符を打ったのは鎌田大地だった。
ガツンと当たられても耐えられる。
アドルフ・ヒュッター監督の信頼が高まるなか、ベルギーでの1年間でプレースキルを高めた鎌田は、フィジカル強度の高いドイツでも屈強な相手を牛若丸の如くかわして局面打開していました。また、正面からガツンと当たられても、ファーストプレッシャーには十分耐えられる強さも感じました。
ただし、ブンデスリーガの選手たちはツヴァイカンプ(1対1)で出し抜かれるとセカンドプレッシャーではファウルも辞さない覚悟で強烈なチャージをかまします。
さすがの鎌田もその脅威には抗えないようで、相手のハードチャージに遭ってピッチに叩きつけられることもしばしば。それでもチームとしては鎌田の尽力でFKなどのセットプレー機会を得られるわけで、攻撃陣の貴重な戦力として重宝されるようになりました。
ゴールをなかなか奪えない苦悩。
一方、本人は試合を重ねるごとに悩みを深めていきました。公式戦でなかなかゴールを記録できなかったのです。
今季のファーストゴールは、8月11日のDFBポカール1回戦SVバルトホーフ・マンハイム(3部)戦でしたが、それ以降は無得点の状況が続きました。9月22日のブンデスリーガ第5節ドルトムント戦ではゴールしたかのように思え、本人も両手を広げて歓喜しましたが、記録は相手のオウンゴールに変更。その後も味方のゴールをアシストするものの、ゴールという明確な結果を残せずにいました。
本人は最近、こんな苦悩を吐露していました。
「自分のプレーの調子は悪くないと思いますが、開幕してから、アシストはありますけど得点はついてきていない。そこだけが僕としては引っかかっています」
今季のアイントラハト攻撃陣は、空中戦能力に優れるゴンサロ・パシエンシアとバス・ドスト、そして機動力とボールコンタクト能力に秀でるアンドレ・シウバと鎌田を中心に形成されています。
ただ、攻撃の組み立ては縦への突破力に優れる両翼のダコスタとフィリップ・コスティッチに委ねられるケースが多く、チームのプレーコンセンサスもサイドアタックが主軸となっています。鎌田本人は、そうしたスタイルが自らの個性を消す要因になっていると認識しているようです。