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アーセナル戦2得点で人気急上昇!
鎌田大地を包む温もりと団結心。
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byGetty Images
posted2019/12/09 11:00
長谷部誠も飛び上がって喜ぶほどのファインゴール2発。アーセナルのエメリ政権に終止符を打ったのは鎌田大地だった。
コスティッチとの関係性が好転。
今の鎌田には未来への道筋が明確に見えているのではないでしょうか。個人的にとても嬉しいのは、コスティッチと鎌田の関係性が好転していることです。
アーセナル戦で鎌田がゴールした瞬間、真っ先に駆け寄ったのはコスティッチでした。彼は鎌田と共にセットプレー時のプレースキッカーを任されているのですが、右利きの鎌田に対し、左利きのコスティッチはどんなエリアでも自分が蹴りたがり、ときに鎌田の存在を無視するかのような仕草も見受けられました。
そんなコスティッチが鎌田と共に歓喜する姿を見たとき、僕はこのチームに根付く揺るぎない団結心を感じたのです。
マインツ戦では、コスティッチのプレーに変化が生まれていました。サイドアタックを仕掛ける彼がバイタルエリアで構える鎌田へ低弾道のマイナスクロスを供給する機会が格段に増え、その他のシーンでもシンプルに彼の足もとへパスを付けて縦へ疾駆するシーンが目立ちました。
セットプレーでも鎌田からコスティッチへのショートコーナーで好機を生み、CKのシチュエーションでコスティッチがキッカーの座を譲るシーンもありました。
コスティッチと鎌田がこれまで以上に堅いホットラインを形成すれば、アイントラハトに新たなアタッキングパターンが生まれる予感がします。
遂に大家さんが鎌田に関心を!
アーセナル戦の翌日、玄関前に鎌田の写真が大きく載った新聞が置かれていました。新聞の左上には、大家さんの文字で「良い週末を」と書かれていました。
おぉ、ついに大家さんが鎌田大地に関心を示してくれた!
サッカーに疎い大家さんが日本人選手に興味を抱いたのは、長谷部誠に次いで史上2人目。これは大ニュースです。
ちなみに大家さんは鎌田のことを少食で無口な少年と思っていて、僕に会うと「あなた、あの子に『ドイツは豚肉が美味しいわよ』って教えなさいよ」と言います。
12月に入り、ドイツは本格的に冬の気配が訪れています。でも、中心地で開かれているクリスマスマーケットで供されるホットワインの湯気のように、鎌田大地の周囲には今、暖かで温もりのある空気が漂っています。