「僕としては足元で触るのが理想」

「ウチは『クロスから』という意識が強いので、僕自身も味方FWと一緒に中でクロスに合わせようとしています。ただ、ウチはラフなボールを早めにポンポン入れるので、そういう部分がとても難しいというか可能性を感じない。僕としては足元でボールに触るのが理想なので、なかなか難しい部分があります」

　アイントラハトは現在、過密日程のなかターンオーバーを用いていますが、その人選に苦慮しています。

　アーセナル戦の鎌田はパシエンシアとA・シウバを前に見据えるトップ下、つまり最適ポジションでプレーできました。一方で、続くブンデスリーガ第13節のマインツ戦ではパシエンシアと2トップを組み、味方の退場で数的不利になると最前線で矢面に立つ1トップの任を与えられました。

「味方のレッドカードで、すごく苦しい状態になりました」

　1－2で逆転負けを喫したマインツ戦後のミックスゾーンで、鎌田は芝生の緑と土の茶色を無数に染み付かせたユニホーム姿で、記者の質問に答えていました。そのユニホームに刻まれた“傷”は、彼が抱える苦悩を如実に表わしているようにも思いました。

アーセナル戦は現状打破のヒント。

　鎌田自身はFWでもトップ下でも自らの個性を発揮すべく尽力しているように思います。後方へ下りてプレーメイクする所作はその表れで、実際に鎌田のアクションからチームの好機が生み出されるシーンは多々あります。

　鎌田が現状を打破するヒントは件のアーセナル戦にあったように思います。このときの彼は味方のサイドアタック、もしくは横方向からのパスに際して相手陣内バイタルエリア付近、すなわち味方FWよりも若干後ろで構えていました。

　先述したように鎌田は相手のファーストプレッシャーには強く、コンマ数秒の限られた時間ならばフリーになる状態を築けます。このプレーアクションから一撃必殺のシュートを炸裂させる。アーセナル戦の2得点はそれぞれシチュエーションこそ異なりましたが、後ろで構えてワンアクションという挙動は共通していたように思います。

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