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高津新監督も期待する即戦力右腕。
ヤクルト2位吉田大喜は何がすごい?
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2019/12/05 08:00
ヤクルト・高津臣吾新監督とがっちり握手するドラフト2位吉田大喜(中央)。ドラ1奥川らと共に大きな期待を背負う。
関係者から評価を得る「体の使い方」。
今年7月に行なわれた日米大学野球選手権大会では、それを証明するかのように侍JAPAN大学代表のセットアッパーとして全5試合に登板。自責点0(失点1)で抑えた。
「昨年までは連投が出来るタイプじゃなかったんですけど、今年に入ってから投げる体力をつけようと春のキャンプからずっと取り組んで来ました。キャンプではブルペンに連日入ってやってきましたし、その成果もあって、今年は連日投げることが出来たのかなって思っています」(吉田)
今季のリーグ戦成績は、春が29回1/3を投げて防御率1.23、秋は33回を投げて防御率1.36と、先発、リリーフの両面で立ち回り、安定した成績を残した。
そんな彼のピッチングを支えるのは、関係者間でも高い評価を得ている投球フォームである。
日体大で指導した辻孟彦ピッチングコーチは、吉田を次のように語る。
「彼の体は正直、大したことないんです。身長(177cm)も高くない。運動神経も良くない。足もそれほど速くないし、ウエイトが上がるわけでも、体の柔軟性が優れているわけでもない。じゃあ彼の何が一番なのかと言ったら、彼の投球フォームだと思っています。それだけ上手い体の使い方が出来ていると思います」
「吉田のフォームを参考してほしい」
日体大入学時、吉田はすでに欠点の少ない理想的なフォームをしていたという。
「だからコントロールも良いですし、(ピッチングも)安定しています。ここ(日体大)に入って来たときは本当にヒョロヒョロな体型で、昨年の卒業生の松本航(現埼玉西武)や東妻勇輔(現千葉ロッテ)と比べると、その辺りは一番低かったと思います。それでも、今くらいの強いボールが投げれるのは、それだけ彼が良いフォームで投げているからだと思います。だから僕は吉田のキャッチボールを、いつも『どこが良いのかな』という目で見ていますし、自分も彼を参考にしています。みんな吉田のフォームを参考にしてほしいと思うくらい良いフォームをしていると思います」
指導者をも唸らす彼の投球フォーム。今春のキャンプでは1日100球前後の投げ込みを行って、技術を染み込ませてきた。今季の飛躍はある意味、必然だったのかもしれない。