オリンピックへの道BACK NUMBER
4回転がなくても並外れて強い!
コストルナヤの情熱と理知、緊迫感。
posted2019/12/04 19:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Asami Enomoto
12月5日、フィギュアスケートのグランプリファイナルがイタリア・トリノで開幕する。
全6大会行なわれたグランプリシリーズの上位6名(組)だけが出られる、シーズン前半戦の勝者を決める重要な大会だ。
女子シングルは、シーズンを席巻するロシアのシニアデビュー組が、ついに一堂に会する舞台となることで、とりわけ注目が集まる。
アリョーナ・コストルナヤ、アレクサンドラ・トゥルソワ、アンナ・シェルバコワの3人だ。
シェルバコワが初戦のスケートアメリカ、第4戦の中国杯で優勝すれば、トゥルソワは第2戦のスケートカナダ、第5戦のロシア杯で優勝。そしてコストルナヤは、第3戦のフランス杯と先日のNHK杯を制した。
昨シーズンまでジュニアで戦っていた3選手が、全戦で優勝したのである。史上初のことだ。
トゥルソワはフリーで4本の4回転ジャンプ。
彼女たちがもたらした衝撃の大きさは、結果によるものだけではない。なんといっても、4回転ジャンプにある。
トゥルソワはフリーで実に4本の4回転ジャンプを組み入れ、シェルバコワは4回転ジャンプの中でも高難度の4回転ルッツをフリーで2本入れている。しかも成功率は高く、それが優勝した原動力となっている。
本格的に女子にも4回転ジャンプの時代が到来したのか――そんな声も聞かれるほどだった。