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八村塁の活躍を陰で支える凄腕代理人。
謎のベールを破って……独占レポート! 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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photograph byYukihito Taguchi

posted2019/12/15 08:00

八村塁の活躍を陰で支える凄腕代理人。謎のベールを破って……独占レポート!<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

滅多に撮影に応じることのない“ザ・エージェント(代理人)”のスナップショット。八村塁とダレン・マツバラの関係は極めて良好だ。

マツバラ「ルイと心で通じるところがあると思う」

 ダレン・マツバラは、名前からもわかるようにカリフォルニア育ちの日系3世。子供の頃は祖父母が話す日本語をよく聞いていたというが、マツバラが10歳の頃に祖父母が亡くなると、家庭の中で日本語を話すことはなくなった。それでも、箸を使って食事をしたり、大晦日には餅をつき、正月に親戚の家に挨拶まわりをしたりと、日本の文化が継承された環境で育ったという。

「日本には強い繋がりを感じている。自分のバックグラウンドを知っているという誇りを持っている。日本に行くのも大好きなんだ」

 彼自身も高校、大学(カリフォルニア州立大ノースリッジ校)とバスケットボール選手だった。

「子供のころ、まわりから『日本人はバスケットボールをプレーしない』と言われ、理解できなかった。そういうステレオタイプの偏見や先入観があった。私は『なぜできないんだ? ホワイノット?』と考えていた。バスケットボールが大好きだったんだ。

 まわりには、私のような(日本人の)風貌をした選手は誰もいなくて、奇妙な感じだった。そういった面ではルイと心で通じるところがあると思うし、彼の経験にも繋がるところがあると思う。まったく同じではないけれど、似ているところがある。私はそういったモチベーションを、このビジネスでプラスとなるように利用した」

 バスケットボールに関わり続けたかったマツバラは、大学卒業後にコーチの道を選び、AAUのコーチや大会オーガナイザーとして多くの高校生選手たちと関わるようになった。

「若者たちがみんな(大学の)バスケットボール奨学金を得られるようにと思っていた。抱えていた全選手が奨学金を得て、NBAに入った選手も18人いる。やっていることがうまくいっているのを見るのは楽しかった」と振り返る。NBAに進んだ選手の中には、デショーン・スティーブンソン、マット・バーンズ、カルロス・ブーザーらがいた。そして、その延長線上に代理人の仕事があった。

「選手を助け、彼らが最高の自身になれるようなガイダンスを与えることはとても好きだったんだ」

「(選手を選ぶときには)まずは人間性を見る」

 彼らが八村を最初に見たのは、八村が明成高校時代に参加したジョーダン・ブランド・クラシックの試合だったという。

 その後、ゴンザガ大に進学した後も、テレビや、時に試合会場で見守り続けた。選手としてNBAでやれる才能を持っているということに加えて、前人未到の道を進もうとする気概にも魅力を感じた。

「私たちはいつもユニークな(独自の)持ち味をもつ人たちの力を信じている。彼はそういう選手だったし、今もそうだ。誰も成し遂げていないことをしようとしている。私たちにとって、それが興味深いことだった」とレイニーは言う。

 マツバラも「(クライアントの選手を選ぶときには)まずは人間性を見る」と口を揃える。

「彼はとても才能がある。彼が日本人だということは、一番重要なことではなかった。そのこと自体も特別で独自のことだけれどね。選手としての彼を見たときに、とても才能があるのは明らかだけれど、それだけでなくとてもハードにプレーすると感じた。うまくなりたいという気持ちを持っている。その組み合わせがあれば、常に上達していく可能性が高い。自分のプレーに満足してしまう選手よりも成長していく可能性がある」

【次ページ】 「(八村は)あの年齢にしては、とても特別」

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