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問題児FWガビゴルの幸せな未来は、
インテル再挑戦 or ブラジルで王様? 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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photograph byGetty Images

posted2019/12/03 11:30

問題児FWガビゴルの幸せな未来は、インテル再挑戦 or ブラジルで王様?<Number Web> photograph by Getty Images

リベルタドーレス杯決勝で値千金の2ゴールを決めたガビゴル。欧州か母国か、水が合う場所でプレーすべきである。

ガビゴルには忍耐力がなかった。

 フラメンゴとセレソンのチームメイトで、アトレティコ・マドリー、チェルシーなどで長年活躍した左SBフィリペ・ルイスの説明はこうだ。

「国内で実績を残したブラジル選手の多くは、欧州でもすぐに試合に出られると思っている。しかし、欧州では監督が志向する戦術をよく理解し、それに応じたプレーをしなければ使ってもらえない。一般的にブラジルよりも厳しい守備をするから、それまで以上に走り、スペースへ走り込んでマークを外す必要もある。足元でパスを欲しがっても、パスは出てこない。

 ガビゴルの場合、能力的には全く問題ない。ただ、欧州で試合に出るためには万全の準備をする必要があったし、最初は試合に出られなくても辛抱強くチャンスを待つべきだった」

 しかし、ガビゴルにはそのような忍耐力がなかった。イタリアでもポルトガルでも試合に出ることができず、ふてくされてしまった。インテル幹部と話し合った結果、昨年1月、古巣サントスへ1年間の期限付きで移籍することになった。

リオっ子に愛されるヤンチャな性格。

 母国へ戻った直後は少し自信を失いかけていたようだったが、ほどなくサントスの攻撃の中心となる。昨年のブラジルリーグで18点を記録し、初の得点王。これで自信を取り戻した。

 そして、今年1月、今度はフラメンゴへ期限付き移籍。心身のコンディションがさらに向上し、チームの超攻撃的なプレースタイルも幸いしてゴールを量産。キャリア最高のシーズンを謳歌している。

 ヤンチャな性格が陽気なカリオカ(リオっ子)から愛され、本拠地マラカナン・スタジアムではファンが「今日はガビゴルが点を取るぞ!」という手製のプラカードを掲げるのが大流行。点を取ったガビゴルがそのプラカードをバックにして、誇らしげに両腕で力こぶを作るポーズを作るのが“お約束”となっている。

【次ページ】 ブラジル人記者が語るガビゴル評。

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