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五輪代表唯一の大学生・田中駿汰。
ボランチ競争で生き残るために。
text by
林遼平Ryohei Hayashi
photograph byGetty Images
posted2019/11/21 07:30
堂安律(左)とは中学時代のチームメイトだったという田中駿汰。コロンビア戦ではアピールならずも、代表争いに前向きなコメントを残した。
来季はミシャのもとでプレー。
今年の5月、田中は北海道コンサドーレ札幌と仮契約を結び、2020年シーズンからの加入が内定した。ミハイロ・ペトロビッチ監督の下で、繊細さとダイナミックさ、そしてサッカーの奥深さを学ぶことができれば、よりプレーの幅が広がることだろう。
さらに5月末には、トゥーロン国際大会に挑むU-22日本代表に初選出された。その大会でCBとボランチのポジションで決勝のフル出場を含む4試合に出場。チームの準優勝に貢献した。初めての招集とは思えないほど、周りの特徴を活かしながらプレーする姿には驚きを覚えたものである。
また大会後に東京五輪への思いを問うた際には、彼の実直な性格が言葉から窺えた。
「この代表に呼ばれ続けるためにはチームでしっかり結果を残さないといけない。周りはプロの厳しい世界でやっているけど、僕は大学サッカーというカテゴリーにいる分、『また次も代表に呼ばれたい』という意識でやらないといけない。みんなにもっと追いついていかないといけないと感じました」
コロンビア戦先発もアピールならず。
敵地でセレソン相手に3-2で勝利したブラジル遠征を経て、今回のコロンビア戦のピッチには田中の姿があった。その前に行われた練習試合で「初めてだったけど、気を使ってポジションを取ってくれていたし、僕も声を掛けながらやれていたので良かったと思う」と板倉が言うように、気の利いたポジショニングやプレーで存在感を発揮したことが先発起用につながった。
だが、結論から言えば、コロンビア戦ではアピール成功とはならなかった。今回の試合は、怪我のために不参加となった田中碧(川崎)や松本泰志(広島)、齊藤未月(湘南)といったポジションを争う選手たちが不在の中、ライバルを追い抜く上でも意味のある試合だったのは間違いない。
しかし、ボール奪取や縦パスなど、要所で良さは出したものの、チームの軸とならなければいけないボランチのポジションで絶対的な存在感を発揮することはできず。A代表組との融合を目指す中での連携不足や多くのサポーターの前で戦う難しさがあったとはいえ、誰もが納得できるほどのパフォーマンスを見せることはできなかった。