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岡崎慎司、今は周囲に合わせない。
スペイン2部で再びストライカーに。 

text by

寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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posted2019/11/16 11:50

岡崎慎司、今は周囲に合わせない。スペイン2部で再びストライカーに。<Number Web> photograph by AFLO

スペイン2部で岡崎慎司はストライカーの本能を取り戻そうとしている。周囲に合わせるスタイルとは一度お別れだ。

「スペインに慣れてない」と言われてもいい。

 ウエスカのスタイルは、他の多くのスペインのクラブ同様に、ショートパスを繋いでビルドアップするのがベースである。ともすれば、FWもポジションを下げてパスを展開することが求められがちだ。

 しかし岡崎はそうではなく、ゴール前でパスを待ち、相手の嫌がるポジションを狙う選択をすることにした。

「Jリーグへ来た外国人選手が『まだ日本のサッカー慣れてないよね』と言われる感じで、僕のプレーを見て『岡崎はまだスペインのサッカーに慣れていない』と言われるかもしれない。でも、自分のなかで『ストライカーらしくプレーする』という気持ちがぶれることはないので」

 そうして、9月下旬の第8節で念願の初ゴールが決まる。

 それでも、3試合ゴールから遠ざかったときは「周りに合わせる」部分を増やした方がいいのかもしれないという葛藤もあった。しかし、横パスをゴール前で受け決めた第12節のゴールで、大きな手ごたえを感じたという。

「僕がゴール前に居続けてきたからこそ、あのパスを出してくれたんだと感じます」

ウエスカにとって岡崎は「伝説の一員」。

 そして続く第13節でも得点し、2試合連続ゴール。

「最初のゴールを決めてから数試合得点できず、勝てない試合もあった。昇格しなくちゃいけないチームの外国人選手だから、勝敗によって受ける精神的なダメージは小さくないんです。2試合連続でゴールを決めたという安堵感よりも、もう何点か獲れただろうという悔しさのほうが大きいし、その想いを引きずってしまうこともある」

 スペインでは、レスターの「奇跡のプレミアリーグ制覇」を知っている人は多い。その一員だった岡崎への期待も当然大きなものだ。クラブにとっての救世主であり、助っ人としての仕事を求められている。そのことは岡崎もまた痛感していた。

【次ページ】 2部で「普通にいい」では足りない。

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