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引退決意の坪井慶介が無名だった頃。
恩師が明かす大学時代の挫折と覚醒。
text by
石倉利英Toshihide Ishikura
photograph byJUFA/Reiko Iijima
posted2019/11/15 11:40
2001年当時の坪井慶介。乾監督のもと、大学4年間で大きな成長を遂げ、日本代表まで登りつめた。
引退発表の2日前――。
乾氏の下には2日前、11月5日に本人から電話があった。これまでもキャリアの節目には必ず連絡してきて、今回は「引退を決断して、クラブに伝えました」と報告を受けた。
無名の高校生のサクセスストーリーは、1つの区切りを迎えた。'93年のJリーグ開幕以降、70人近いJリーガーを送り出している乾氏にとっても、坪井の歩んだ道のりは、自身の指導の在り方を再確認させてくれるものになっている。
「35年間、福岡大で指導していますが、あれだけ努力し続けることができた選手は他にいません。無名の高校生が、地方の大学からユニバーシアード代表に選ばれ、Jリーガーになり、日本代表としてW杯に出場する。夢のようなことを現実にする姿を見せてくれました。そういう選手を世に送り出していくことが、私の役割です。選手の力を決めつけず、可能性を見いだしていかなければならない。それを教えてくれたのが、坪井慶介です」
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