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プレミア12、不調から復活の3安打!
坂本勇人が天敵の残影を振り切った。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNanae Suzuki
posted2019/11/14 12:00
ついに長いスランプから抜け出した坂本。ヒットを放ち、井端弘和コーチとグータッチをする。
どん底からの復活劇。
坂本にとってはこの「プレミア12」は飛躍へのきっかけとなった大会だった。
前回の2015年の第1回大会に侍ジャパンの一員として参加。そこでチームメートだったDeNA・筒香嘉智外野手や西武・秋山翔吾外野手の打撃論を聞いて、右軸での回転という発想を手に入れた。それが本格化への階段を登り始めるきっかけとなった。
そんな自身の中ではメモリアルな大会で経験したどん底と、そこからの復活劇。だが、本人はまだまだ納得はしていない。
「(前に出るので)ステップの幅だったりとかを意識しています。内容は良くなかったですけど、ファウルにならなかった、空振りにならなかったというのを収穫として、何とかどんなヒットでもいいから打てるようにしたいですね」
チームはこの坂本の復活劇であげた3点を、先発・今永昇太(DeNA)から甲斐野央(ソフトバンク)、山本由伸(オリックス)、そして山崎康晃(DeNA)の各投手を繋いだ完璧リレーで守り切って、決勝進出へと大きく前進する白星を手にした。
「このチームで試合ができるのも韓国戦と決勝の2試合だけ。悔いのないように全員で結束力をもって戦っていく」
試合後の会見でこう語ったのは稲葉監督だ。
苦しい中でも何とか繋いできた世界一への道。1人、また1人と役者も揃い、ゴールは見えてきている。