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プレミア12、不調から復活の3安打!
坂本勇人が天敵の残影を振り切った。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNanae Suzuki
posted2019/11/14 12:00
ついに長いスランプから抜け出した坂本。ヒットを放ち、井端弘和コーチとグータッチをする。
「迷惑かけていたんでホッとしました」
二塁手が二塁ベースの後ろに回って、それに合わせて遊撃手が三遊間へと移動。その2人の間をちょうど割って転がっていった安打だったが、この1本が坂本にとってもチームにとっても大きな一打となった。
2死から鈴木、外崎、そして6番に回った近藤健介外野手の3連打で奪った先制の2点が、大一番に臨んだチームに勇気を与えてくれた。
「内容的には良くないけど、ヒットのランプがつくと打者としては凄く気持ち的に楽になる。迷惑かけていたんでホッとしました」
6回の第4打席でも三遊間を破る安打を記録して3安打の猛打賞。試合後の坂本は何より結果が出たことに安堵の表情を見せながらこう語った。
ポストシーズンで突然のスランプに陥る。
今季は自己最多の40ホーマーを放ってMVPの最有力候補となる活躍を見せたが、ポストシーズンで突然のスランプに陥った。
ソフトバンクとの日本シリーズでは13打数で安打はわずかに1本。4連敗の“戦犯”の1人と揶揄された。しかもこの不振は、シリーズだけでは終わらない、底無しの泥沼だったのである。
「勇人はクライマックスシリーズ(CS)の途中からずっと状態が悪かった」
巨人・原辰徳監督がこう指摘したように、実はこの不振の原因は、CSのある打席から始まっていたと思える節がある。
その打席とは阪神・青柳晃洋投手と対戦したCSファイナルステージ第3戦の第2打席だった。