紙一重の分厚い差を打ち破る。

　一方で、その紙一重に分厚い差があることを痛感してきたチームだったからこそ、そうした勝負をつかみ取れる力強さがピッチで身についてきたことに大きな意味がある。キャプテンの小林悠はチームの成長に胸を張った。

「相手にも決定機がありましたし、後ろが守ってくれたということと、ずっとオニさん（鬼木達監督）が言ってる勝負どころのセットプレー、あとは自分自身もカウンターを狙っていた。そこでしっかり点が取れたのは、チームとしての成長を感じた試合だったかなと思います」

　こうした勝負を掴み取る握力を生み出したものは何か。

　試合後の鬼木監督は、カップ戦覇者になった今年の経験が大きいと言う。

「選手たちにもよく話をしているのですが、富士ゼロックス杯、チェルシーとの試合、ルヴァンカップという大きなゲームでしっかり勝つということを求めてやってきた中で、そういう試合を勝ち切れたということは、選手も間違いなく自信になっていると思います。

　今日のゲームも、先日の浦和レッズ戦（11月5日に2－0で勝利）もそうですが、負けたら終わりという決勝戦のような戦いをずっと続けて、そこで勝っているというのは選手のメンタル面での成長にあると思っています」

リーグ連覇とルヴァン制覇で変化が。

　カップ戦の中でも一番のターニングポイントは、やはり先月のルヴァンカップ優勝だろう。

　タイムアップ寸前に追いつかれ、延長戦で1人少ない状況でリードを奪われる絶望的なシチュエーションになりながらも、セットプレーでしぶとく追いつき、PK戦の末に粘り勝ちした。

すべての写真を見る（2枚）

　昨年リーグ連覇を果たし、一発勝負のカップ戦も制覇したことで、川崎フロンターレというチームの伝統に足りなかった「勝負強さ」が備わり始めている。そしてそれが選手達にも自信を与える。そこからチームはリーグ戦3連勝中である。

【次ページ】　勝負強さ＝川崎らしさとなるか。