月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
デイリーが鳥谷裏面でもノーサイド!
札幌に豊洲のブーメランが飛んだ10月。
posted2019/10/31 20:00
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph by
Naoya Sanuki
10月のスポーツ新聞はにぎやかだった。まずはラグビーW杯。
サモア戦を伝えた10月6日、各紙きれいに『日本8強王手』と並んだ。ここで注目なのは「奇跡」という言葉はもうどこも使っていなかったことだ。
そして運命のスコットランド戦。
『攻めた耐えた勝った 日本8強』(日刊スポーツ10月14日)
ニッカンは『祝ラグビー8P大展開』。なんとラグビー紙面が8ページ。ほかのスポーツ紙もお祭り展開。
こうなるとちょっとクセのある媒体はどういう様子か気になる。まず何があっても阪神推しのデイリースポーツ。
スコットランド戦があった日はCSファイナルステージで巨人と激突。この日敗れたら日本シリーズ出場の道が絶たれるという大一番。
結果は阪神敗戦だったが、私は気になってツイッターで「ところで明日のデイリー1面はどっちなんだろう」とまさにつぶやいた。
すると熱心な阪神ファンの方々なのだろう。「“さようなら鳥谷”とブレないと思います」「“鳥谷ありがとう”ですかね」「“鳥飛び立つ”かな」等のリプライをいただいた。そうか鳥谷の大展開があったか。
一面はラグビーか、鳥谷か。
ラグビーか、阪神か。なんだか急にドキドキして朝を待つと……
『ジャパン8強』(デイリースポーツ・10月14日)
あ、ラグビーだ! デイリーもラグビーだ!
そして裏一面を見ると、
『さらば不死鳥 鳥谷終戦』
ああ、見事。もうみんな正解でいいじゃないか。一面予想もノーサイドという気分。
実はデイリーはラグビーも読ませる紙面づくりで、初戦のロシア戦を報じた見出しは『松島や あぁ松島や 松島や』。
ちなみに端にはさりげなく「走ったコータロー!!」とも書いてあり、オヤジ読者はその元ネタがすぐにわかるつくりになっていた。すばらしい。
日本は準々決勝の南アフリカ戦に敗れたが『これからますます強くなる 日本に拍手!!』(スポーツ報知・10月21日)というようにポジティブで明るいものが多かった。