月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
デイリーが鳥谷裏面でもノーサイド!
札幌に豊洲のブーメランが飛んだ10月。
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph byNaoya Sanuki
posted2019/10/31 20:00
あのデイリーや東スポも一面で報じたラグビーW杯。各紙、趣向を凝らした見出しで偉業を伝えていた。
ラグビーW杯一色、東スポは?
さて、朝刊スポーツ紙が「ラグビー、感動をありがとう」の雰囲気のなか、東スポはどう伝えたのだろうか。この日の紙面を見てみると……
『ラグビーボール型 UFO出現』(10月22日付)
来た!
UFOネタとラグビーのとびっきりのコラボ! 東スポ、ありがとう。もちろん小さく「?」が入っていた。
そういえば東スポは10月29日付では『世界初 人面ヤギ』が一面トップを飾った。あの「人面●●」ふたたびである。ここにきてのUFOと人面シリーズ復活。
ここ数年の東スポはファンタジーあふれる未知の存在から「薬物芸能人のシルエット」のようなシビアな未知の存在にシフトしていた。そのほうがリアルで反響があるのだろう。ネット全盛のいま、ファンタジー路線は完全に過去のものになりつつあった。
ロマンあふれる「人面ヤギ」。
それを痛切に感じたのは「ネス湖でネッシーの調査」という一般紙にも載った話題があった時だ(9月)。以前なら大々的に報じていたであろうこの“ニュース”を東スポは社会面で淡々と報じていたのである。時代の流れとはいえ、私はどこか寂しさを感じていた。
ところがここにきて「人面ヤギ」一面である。10代の頃から読んでいる東スポ好きとしては、毎日、毎週、こういう見出しをやってほしいとは言わない。でも世知辛い世の中で、たまにでもいいからロマンあふれる見出しをやってくれると嬉しい。
スポーツ紙や夕刊紙、タブロイド紙は世間的には決して生活必需品ではないだろうが、でも、あると嬉しい存在である。これらを楽しめるか否かは、余裕があるかないかというバロメーターだとさえ私は思っている。今後もワクワクさせてほしい。