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今季のトップリーグは一味違う!
ラグビーの魅力が詰まった開幕戦。
posted2018/09/06 17:00

トップリーグ開幕戦で両チームが見せた激闘。W杯前のシーズンらしい最高の船出となった。
text by

大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph by
Nobuhiko Otomo
トップリーグの最多動員記録を更新した大観衆は、贔屓の勝敗はともかく、ラグビーの面白さを堪能して帰路についたに違いない。
ラグビートップリーグ開幕節最大の注目カードだった。3連覇を目指すサントリーサンゴリアスと、昨季そのサントリーに31-32と肉薄したトヨタ自動車ヴェルブリッツの対決。9月1日、豊田スタジアムに駆けつけた観客は3万1332人。昨季の同じ豊田スタジアムの開幕戦、トヨタ自動車vs.ヤマハ発動機で記録した2万7871人を更新した。トップリーグ16年の歴史で最多の観衆に相応しい好試合だった。
サントリーは王者らしく、さらなる高みを目指した。
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真夏の開幕。ただでさえ汗で滑るボールは、第1試合から降り続いた雨と濡れた芝で、より滑りやすくなっていた。ハンドリングミスのリスクを考えればボールタッチを増やさず、キックで陣地を進めながら戦うのがセオリー。
だがサントリーは、臆することなく地上戦でボールを動かした。そこに迷いなく襲いかかるトヨタの激しいディフェンス。前半、サントリーはアタックを継続しようとしてはタックルを浴び、何度もボールを落とした。
それでも22分、ルーキーCTB梶村祐介の突進を起点に、やはりルーキーのPR堀越康介が3人のタックルを押しのけながらゴールポストの根元にねじ込み先制トライ。
アタックを貫く攻撃精神を。
だが、そこからトヨタは一気に試合をひっくり返す。
25分、WTBヘンリー ジェイミーがトライ。5-7と追い上げた直後のスクラムから、南アフリカ代表FBジオ・アプロンが雷鳴のごときランでサントリー防御を切り裂き、ルーキーCTB岡田優輝が逆転トライ。前半はトヨタが12-10とリードを奪った。
「ハーフタイムには選手に、『ラグビーではボールを前に落とすとノックオンという反則なんだよ』と言いました」
サントリーの沢木敬介監督は試合後、冗談めかして言ったが、ディフェンスのプレッシャーが厳しくてもアタックを貫く攻撃精神こそサントリーというチームが脈々と築いてきたDNAだ。たとえミスが重なってもチャレンジをやめない。